2019年「総理大臣杯」プレビュー


今年の大学サッカー界はタレントぞろいで目が離せない。6月に開催されたトゥーロン国際大会では4人の選手がメンバー入りし、ブラジルを制した決勝でも活躍した。7月のユニバーシアードナポリ大会では日本代表は大会二連覇を達成し、チームを指揮した松本直也監督(桃山大)は「(これまでと比べても)トップレベルの選手がそろった」とチームの印象を語った。Jリーグに内定している選手も多く、公式戦で活躍しゴールを決めた選手もいる。さらに、大学チームがJチームを破った天皇杯のジャイアントキリングも記憶に新しい。そんな大学・選手たちが結集する「第43回総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント」がいよいよ8月29日(木)から関西で開幕する。運営にあたる関西学生サッカー連盟の学生幹事長の橋本楓生弥さん(大経大4年)と副幹事長の柏井晴さん(関西大3年)、そして本橋駿さん(関西大2年)に、大会の見どころについて伺った。

写真左より、柏井晴さん、橋本楓生弥さん、本橋駿さん

2019年の総理大臣杯、出場24校の顔ぶれ

総理大臣杯は大学サッカーの夏の王者を決める大会だ。今年は8月29日(木)・9月1日(日)・3日(火)・5日(木)・7日(土)の日程で、関西の各スタジアムで開催される。出場するのは各地域の予選を勝ち抜いた24校。前回大会の覇者で4年連続大会決勝進出を果たしている明治大学をはじめ、ユニバーシアード代表メンバー6人を擁する筑波大学、天皇杯でJリーグチームを破った法政大学、鹿屋体育大学、平山相太氏(元日本代表)の入学・サッカー部コーチ就任でも話題の仙台大学などの強豪・常連校に注目が集まる中、初出場ながら関東第二代表の立正大学も気になる存在だ。関西からは、びわこ成蹊スポーツ大学、関西大学、大阪経済大学、大阪体育大学が出場する。前回大会準優勝だった大体大をはじめ、それぞれに熱い思いを抱いて全国の舞台に臨む。(写真は2018年決勝戦、大体大 vs 明治大)

● 出場校24チーム

北海道教育大学岩見沢校、北海学園大学、仙台大学、明治大学、立正大学、駒澤大学、筑波大学、法政大学、順天堂大学、拓殖大学、静岡産業大学、東海学園大学、中京大学、新潟医療福祉大学、びわこ成蹊スポーツ大学、関西大学、大阪経済大学、大阪体育大学、IPU・環太平洋大学、高知大学、四国学院大学、福岡大学、鹿屋体育大学、日本文理大学

 

国際大会やJリーグで活躍する大学生

「今年は話題の選手が多い大会になりそうです」と語るのは、関西学生サッカー連盟学生幹事長の橋本さん。トゥーロン国際大会では大阪体育大学の田中駿汰選手や筑波大学の三笘薫選手、順天堂大学の旗手怜央選手が活躍した。また、Jクラブ内定者や特別指定選手としてすでに試合に出場している選手も多い。関西の出場校の中では、関西大学の黒川圭介選手が昨年早々ガンバ大阪に内定して試合にも出場、大阪体育大学の林大地選手はサガン鳥栖でゴールをあげている。また、関西大学の羽田健人選手は大分トリニータ、びわこ成蹊スポーツ大学の忽那喬司選手は愛媛FC、大阪体育大学の田中駿汰選手はコンサドーレ札幌への内定が発表されている。しかし、それだけではない。総理大臣杯はJリーグをはじめとするサッカークラブのスカウトも集まる大会だ。これをきっかけにプロ内定をつかむ選手もいるだろう。未来のJリーガーを発見する楽しさも観戦の醍醐味のひとつだ。

 

●Jリーグ内定選手(内定先)

仙台大学:松尾佑介選手(横浜FC)、明治大学:安部柊斗選手(FC東京)、瀬古樹選手(横浜FC)、立正大学:中塩大貴選手(ヴァンフォーレ甲府)、駒澤大学:高橋潤哉選手(モンテディオ山形)、星キョーワァン選手(横浜FC)、筑波大学:三笘薫選手(川崎フロンターレ)、高嶺朋樹(コンサドーレ札幌)、山川哲史選手(ヴィッセル神戸)、阿部航斗選手(アルビレックス新潟)、法政大学:紺野和也選手(FC東京)、順天堂大学:旗手怜央選手(川崎フロンターレ)、東海学園大学:児玉駿斗選手(名古屋グランパス・2021内定)、新潟医療福祉大学:矢村建選手(アルビレックス新潟)、びわこ成蹊スポーツ大学:忽那喬司選手愛媛FC、関西大学、黒川圭介選手(ガンバ大阪)、関西大学:羽田健人選手(大分トリニータ)、大阪体育大学:田中駿汰選手(北海道コンサドーレ札幌)、林大地選手(サガン鳥栖)、鹿屋体育大学:奥田雄大選手(徳島ヴォルティス)

 

 

熾烈な予選を勝ち抜いた関西代表4チーム

関西で総理大臣杯に出場できるのは、6月に開催された関西選手権上位4チームだ。これは、関西学生サッカー連盟加盟59チームによるトーナメントである。今年は、優勝したびわこ成蹊スポーツ大学、2位の関西大学、3位の大阪経済大学、4位の大阪体育大学が出場を決めた。関西大学は関西学生サッカーリーグ前期は7位、大阪経済大学は10位ながら、トーナメントでは上位チームを制して出場を勝ち取った。関西代表4校の見どころは以下のとおり。なお、関西大学と大阪経済大学については柏井さん(関西大3年)と橋本さん(大経大4年)のコメントも交えて紹介したい。

 

●関西第一代表:びわこ成蹊スポーツ大学(3年ぶり3回目)

関西学生サッカーリーグ前期2位で、関西選手権は優勝し勢いにのっている。全員で守備をして奪ったら素早く攻めるカウンターが得意という印象。MF7忽那喬司選手選手、FW10青山景昌選手、FW18井上直輝選手の4年生が前線で引っ張りつつ、2年生のDF3森昂大選手や1年生のMF22泉柊椰選手など下級生の活躍も目立つ。特に泉選手は関西選手権決勝で90分に決勝ゴールをあげる活躍ぶりだった。

試合は9月1日(日)J-GREEN堺S5フィールド13:30キックオフ、四国学院大学・鹿屋体育大学の勝者と対戦。

 

●関西第二代表:関西大学(2年ぶり18回目)

関西学生サッカーリーグ前期7位。「パスサッカーを志向し、いい守備をしてディフェンスから攻撃へつなぐというサッカーを何年もやってきました。今シーズンは得点力不足に苦しみ、関西選手権も一試合目(関西大はシード校につき3回戦からの出場)から大阪府立大学に延長PK、二試合目(4回戦)は同志社大学に延長戦と苦戦が続きました。ただ、FW9髙橋晃平選手がケガから復帰したのが大きいです」と柏井さん。注目選手はDF6黒川圭介選手、DF5羽田健人選手、MF10牧野寛太選手、そしてDF25安田拡斗選手。「安田選手は関西学生サッカー連盟でも学生幹事の仕事を続けながら、4年生でトップ昇格しました。ぜひ活躍してほしい」。

試合は9月1日(日)みきぼうパークひょうご第1球技場11:00キックオフ、北海学園大学・拓殖大学の勝者と対戦。

 

●関西第三代表:大阪経済大学(4年ぶり4回目)

関西学生サッカーリーグ前期10位。「リーグ戦を考えると、総理大臣杯出場は順当な結果ではないと思います。でも、全員がすごく頑張るいいチームです」と橋本さん(大経大4年)。総理大臣杯出場が懸かる関西選手権準々決勝では、関西学院大学に劇的な逆転勝利を飾った。「MF7西田隼弥選手がアディショナルタイムに同点ゴール、延長では決勝ゴールを決めました。すごかったですね。みんな、この4年間真面目にサッカーに取り組んできたメンバーです。泣いている選手もいた」。総理大臣杯の出場は4年ぶりとなる。「今のメンバーは誰も全国大会を知りません。でも今、トップだけではなく下のカテゴリーの選手にまで“全国”という意識が広がっています。雰囲気はいいですよ。気合入っています」。注目選手は、MF6音田聡ノ介選手、MF7西田隼弥選手、MF10川﨑一輝選手、DF16山岡龍次郎選手。

試合は8月29日(木)ヤンマースタジアム長居18:00キックオフ、中京大学と対戦。

 

●関西第四代表:大阪体育大学(10年連続25回目)

関西学生サッカーリーグ前期首位。前年の総理大臣杯準優勝。

リーグ戦では11試合で7失点、複数失点は1試合のみと、今年も堅守の大体大。選手層が厚いのが特長で、トゥーロンやユニバーシアードで主力を招聘されても、教育実習で選手が抜けても、しっかりと勝ちを収めてきた。Jクラブに内定しているDF5田中駿汰選手、FW10林大地選手に注目が集まるが、MF7西田恵選手やMF19野寄和哉選手など評価の高い選手が多い。

試合は8月29日(木)ヤンマーフィールド長居18:00キックオフ、北海道教育大学岩見沢校と対戦。

 

大会を運営する「チーム関西」にも注目!

総理大臣杯は、関西学生サッカー連盟が主管する大会だ。運営には学生たちも携わる。学連の学生幹事・準幹事をはじめ関西学生サッカーリーグ1部12チームから選手たちの応援を募り「チーム関西」で対応する。その中心となるのが、学生幹事長の橋本さんだ。「全国からチームが来るので、関西では当たり前だと思っていた運営方法が通用しないこともあります。そこは慎重に対応して、チームの方には競技に集中していただけるようにスムーズな運営を行いたい」。当日は会場の責任者という大役を担う柏井さんも「1会場に約30人の学生が関わり、試合の準備や競技補助などにあたります。試合をするチームや関係者はもちろん、見に来られる方にも気持ちよく観戦してもらえるように頑張ります」。

 

試合だけではない。関西学生サッカー連盟では大会を盛り上げる企画も行っている。恒例の「カウントダウン」では、参加24チームのキャプテンが登場。大会までの日数をカウントダウンするフリップを掲げた写真を撮影し、SNSに毎日アップする。また「トモニタタカオウ」では、24チームの登録選手・スタッフが全員登場するという思い切った企画。家族やお世話になった人たちへ向けた「Dear」で始まるメッセージを掲げて撮影し、その写真をグーグルフォトにアップする。大会に来られないけれど支えてくれている人たちも一緒に戦おうという思いを込めて企画した。また、試合では参加24チームの大学名入りトーナメント表をデザインしたタオルや、各大学のユニフォーム型ストラップなどのグッズも人気。観戦に欠かせない大会パンフレットは本橋さんが制作に携わった。こういった地道な作業が大会の成功を支えている。最後に、橋本さんからのメッセージを。

「総理大臣杯は大学サッカーの日本一が決まるすごい大会。試合も面白くて夢中になります。1回戦・2回戦・準々決勝は無料開催なので、ぜひ気軽に見に来てください。また、スタジアムではプレゼント企画も用意しています。特に決勝戦ではトゥーロン国際大会に出場した3選手のサイン色紙も用意しました。いい大会にするように僕たちも頑張ります」。

 

 

第43回総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント日程

1回戦:8月29日(木)

ヤンマースタジアム長居

15:30IPU・環太平洋大学 vs 仙台大学、18:00大阪経済大学 vs 中京大学

神戸総合運動公園ユニバー記念競技場

15:30福岡大学 vs 新潟医療福祉大学、18:00北海学園大学vs 拓殖大学

ヤンマーフィールド長居

15:30日本文理大学 vs 東海学園大学、18:00大阪体育大学 vs 北海道教育大学岩見沢校

たけびしスタジアム京都(西京極総合運動公園陸上競技場)

15:30鹿屋体育大学 vs 四国学院大学、18:00高知大学 vs 静岡産業大学

 

2回戦:9月1日(日)/11:00、13:30キックオフ

J-GREEN堺 S2フィールド、S5フィールド

みきぼうパークひょうご 第1球技場、第2球技場

 

準々決勝:9月3日(火)/15:30、18:00キックオフ

ヤンマースタジアム長居、ヤンマーフィールド長居

 

準決勝:9月5日(木)/15:30、18:00キックオフ

ヤンマーフィールド長居

 

決勝:9月7日(土)

ヤンマースタジアム長居 18:00キックオフ

※決勝は翌日深夜に読売テレビで録画放送、準決勝・決勝はインターネットでライブ配信される。

 

 

Text by Michio KII