まずはみんなが気持ちよく楽しめるサッカーがしたい!そして、タイトルを獲る!!

ls_talk_01

レイジェンド滋賀FC 監督 松山 吉之氏

 

「滋賀からJリーグを目指すクラブ」。
その未来のサクセスストーリーに向けて、今大きな力となっているのは元Jリーガーの松山吉之監督。
その松山氏に今のレイジェンド滋賀FCについて聞いた。

 

元Jリーガーで、昨年最優秀監督賞を受賞した松山監督に聞く
『レイジェンド滋賀FC』とは?

 

――まず、なぜレイジェンド滋賀の監督になったのですか?

「同期から『誰か監督をできる人はいないか?』と相談されました。私もいろいろとツテを頼って探したのですが、やはりプロでもなければ、給料がでるわけでもないので、なかなか見つかりませんでした。それで私自身が『時間があるときならお手伝いします』という感じで、関わったのが始まりです」

 

――松山監督になって強くなりましたよね?

「就任前がよく分からないので、強くなったかどうかは分かりません。でも、とにかく社会人の集まりなので、選手がチームに来て、楽しくなかったらダメだと思っています。選手には、それぞれ自分の持ち味を出してもらいたいんです。みんな仕事の合間に時間を作って、練習や試合に参加しています。そんな中で、来て良かった、プレーして良かったと思えるチームにしたいという考えがありました。それで、みんなが気持ちよくプレーできて、機能したことで、昨年の結果があったんじゃないでしょうかね」

 

――昨年は3位という素晴らしい成績で終えましたが…

「3位という結果には満足していません。1位以外は全部一緒です。昨年で言えば、私たちとアミティエ、バンディオンセ、奈良クラブなどは、チーム力としても似たようなものでした。1位のFC大阪も強いけど、負ける相手ではなかったと思います。私がもう少し工夫していたら勝てたかも(笑)。ただ、1部と2部を行ったり来たりするようなチームではなくなったと思います」

 

――FC大阪の森岡監督、バンディオンセ加古川の橋本監督は現役時代、共に戦ったメンバーですが意識はされますか?

「昔のチームメイトがそのように同じカテゴリーで監督として戦っているのはうれしいですね。別に意識はしませんが、森岡には森岡の、橋本には橋本の持ち味があるなと思いますね」

 

――松山監督の持ち味とは?

「自由なところですかね(笑)。戦術的には“カタチがないのが、ボクのカタチ”。守備の約束や基本的な動きは伝えますが、サイドもあれば中央もあるし、クロスもあればカウンターもある。唯一伝えているのは、前線でボールを奪えればチャンスになるよ、ってことくらい。それがまわりからは攻撃的サッカーと捉えられているのかもしれないですね」

 

――その辺りがマネージャーオブザイヤー(最優秀監督)※なんでしょうか?
※The KSL Awards 2013で、松山監督はファン・サポーターによる投票で「最優秀監督」に選ばれました。

「どうなんですかね(笑)。でもサッカーはやっぱりゴールを入れるスポーツですから、見ている方も点が入ると楽しいでしょ? だけど、その割に昨年はよくシュートを外しましたね(笑)。」

 

ls_pics_04

自身も家業の社長を務めながらの監督業。
クラブとスタッフ、選手、サポーターへの想い。

 

――松山監督も別に仕事をしていますが、苦労されることは多いのでは?

「苦労というか、昨年はチームに迷惑を掛けたと思います。だから最優秀監督も、私でいいのかなという感じです。本当にスタッフのサポートがあったからだと思いますね。ただ彼らにもコーチングの勉強をしてもらいたいというのもありますし、選手にしても自分で責任を持って取り組んでもらいたいと思っていました。やっぱり自分たちのチームですし、自分のサッカーですから。とは言え、練習メニューや選手の状態については、スタッフとも密に連絡するようにはしていましたよ」

 

――頼りになるスタッフがいるのはいいですね

「本当にスタッフは優秀です。フィジカルコーチにも入ってもらったし、私が京都サンガ時代にお世話になったメディカルスタッフにも参加してもらうようにしています。スタッフは一人ひとりが頑張っていますので、私もそのようなつながりを使って、チームの土台作りを手伝えればと思っていますね」

 

――レイジェンド滋賀の選手たちの仕事はどのようになっていますか?

「その件に関してはスタッフのみんなが頑張ってくれて、それぞれ動いてくれているみたいです。今年からは私の後輩の会社で、選手がお世話になっています。本当にいい後輩です(笑)。とは言え、大変なことには変わりなく、例えば仕事の夜勤明けで試合に来る選手もいれば、練習はほとんど出られず試合だけにスケジュールを調整せざるを得ない選手もいるのが現状です。しかし、これは1、2年でどうにかなるものではなくて、5、10年という期間を掛けて、コツコツ体制を整えていくものだと思っていますね」

 

――選手も熱いですが、レイジェンド滋賀はファン・サポーターも熱いですよね?

「サポーターの皆さんには頭が下がります。ああいう人たちに喜んでもらいたいですよね。そのための私のできるコトは勝つコトしかないと思っています。サポーターが見て楽しいと思えるのは、勝って、なおかつたくさんゴールが入ることでしょ。それと選手にもよく言っているのは『感謝しなさい』ということです。サポーターの方たちは、家族でもない選手たちに、いつも熱い声援を送ってくれるんですから」

 

 

ls_pics_03

関西リーグからJリーグへ
滋賀を代表するクラブを目指す決意

 

――就任当初「関西リーグ」というレベルでの戸惑いはありましたか?

「プレー面で、できないコトはできないで仕方ないと思っています。求めるプレーが全てできれば、みんなプロへ行っていますから。だけど、そのレベルの中でも全員が向上心を持って一生懸命プレーしています。やる気のない奴とやるのは嫌だけど、そんな選手はいません。ただ、もちろん試合に勝つためにはいろんな要求もしますよ(笑)」

 

――今シーズン、他のクラブは補強に積極的のようですが…

「そうですね。レイジェンドも何人かは獲得するみたいです。監督としての希望は特に伝えていません。元々、私は入団したい選手には、みんな来てもらったらいいと思っていますから。ある程度のレベルの選手なら、本当に全員入れたらいいと思っています。それでレギュラー争いがあって、試合に出られないのは仕方ないことです。それはどこのチームに行っても一緒ですから。どこかのポジションを補強したいと言っても、キリがないですからね」

 

――監督としての「楽しみ」と「将来像」はどのように考えていますか?

「楽しみは、やっぱり『勝つ』ことですね。勝ったら嬉しいし、みんなが喜んでくれるのが嬉しいですから。まさに、奉仕の精神(笑)。将来的に、私には仕事(家業)があるので、これ以上のコトは無理だと思っています。ただ私の退任後に、もしこのクラブがJへ行ってくれれば、少しは力が貸せたのかな?と思えるんじゃないでしょうか。それとチームで時間を共にした選手と『あのときはこうだった!』と笑い合えたらいいですよね」

 

――監督として大切にしていることはありますか?

「監督としては、全員を出場させてやりたいんですよね。試合によってはリザーブを中心にメンバーを組んだこともあります。プレーヤーは、練習だけだとやはりつまらないでしょ? うちに浦谷という選手がいます。彼はレギュラーメンバーではないのですが、毎回練習も休まずに来ていた努力家なんです。だからシーズン終盤に出番を作ったことがありました。その時にチームメイトのお膳立てもあって、得点を決めたんです。めちゃくちゃ嬉しそうでしたね。こうした努力を積み重ねることは、本当に大切だと思っています。私はプロの世界でも、そういう努力をしてきた選手をたくさん見てきましたから。浦谷はプロの選手に比べると、まだまだだと思いますが(笑)、それからは彼なりに一皮むけた印象ですね」

 

――クラブとして目指すところは?

「Jリーグです。そこにたどり着くためには環境設備やスポンサーの獲得など、いろいろなことが必要だと思います。でも、まずはやっぱりチームが強くなかったらダメだと思うんです。それが土台となって、さまざまなことが積み重なっていくと思いますから」

 

――滋賀でサッカーと言えば「高校サッカー」のイメージがまだまだ強いですね。

「今の文化レベルだとそうかもしれませんね。でも、1つ上のカテゴリー(JFL)にいるMIOびわこ滋賀さんなのか、私たちレイジェンド滋賀FCなのかわかりませんが、滋賀を代表してJへ行くことができれば、変わるんじゃないでしょうか。今まではそれほど強調してこなかったのですが、これからは滋賀県初のJクラブになるという気持ちを前面に出さないといけないと思います。言霊というのもありますし、言うことで生まれることもたくさんありますから。だから、今度JリーグのTV解説をするときは、『滋賀でJリーグを目指しているレイジェンド滋賀の監督』というのを前につけてもらおうかと思っています(笑)」

 

――最後にサッカー界のファン・サポーターへメッセージをください。

「まずサッカーを愛してくれている皆さんには、関西リーグの試合に足を運んでいただければと思います。アマチュアというカテゴリーながら、全力で必死に戦っている選手たちの姿をぜひ見てもらいたいですね。サッカーの原点(楽しさ)を知ってもらえると思います。そして、レイジェンド滋賀を応援してくれているファン・サポーターの皆さんには今年はタイトルをプレゼントしたいですね。どんなタイトルでもいいですし、できることなら全部獲りたいと思っています。応援、よろしくお願いします!」

ls_pics_01

Text by Yoshitomi NAKANISHI

onewebkansai

関連記事