2回戦:ベスト8へ、関西のチームが大健闘!


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9月28日(日)大会2日目

昨日に引き続き晴天に恵まれたこの日、1回戦を突破した16チームによる8試合が4つの会場で開催された。8試合のうち3試合は延長戦、そのうち1試合はPK戦にまでもつれ込むという展開に。取材に訪れた串本町サン・ナンタンランドと橋本市運動公園多目的グラウンドでも、白熱した戦いが繰り広げられた。

 

串本町サン・ナンタンランド多目的グラウンド

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JR串本駅から高台に上がると、サン・ナンタンランド総合運動公園がある。多目的グラウンドはサッカーのキャンプ地として利用されることも多く、今年6月にセレッソ大阪がトレーニングキャンプを行い多くのファンが訪れたことは記憶に新しい。

試合当日、会場周辺には幟が立ち、特産品や飲食のブースが設営され、クラブのファン・サポーターや地元の人で賑やかだ。晴天に恵まれ、第一試合が始まる11時頃には気温は30℃近くまで上昇する暑さ。試合前後やハーフタイムには、フリードリンクのブースに長い列ができた。各ブースでは地元の女性たちが元気よくもてなしてくれる。地元中高校のサッカー部の選手たちも、一生懸命競技補助員を務めていた。地元の人たちの熱いサポートの中で、大会2日目がスタートした。

 

11:00キックオフ:FC大阪(関西/大阪府) vs 三菱水島FC(中国/岡山県)

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新宮市での試合を制し串本町に乗り込んできた三菱水島FC。スタンドを訪れると、昨日出会った三菱水島FCのサポーターが声をかけてくれた。そばには午後から試合が控えている松江シティFCのサポーターもいる(なぜかFC岐阜サポーターも)。一緒に観戦ですか? と尋ねると「仲良いんですよ」。同じ中国リーグということもあるだろう。何度も試合を見に行くと顔見知りもできる。Jリーグにくらべるとマイナーなカテゴリーかもしれないけれど、地域リーグを愛する者同士、共感も芽生える。クラブを越えてファン・サポーターがつながるのは、アマチュアリーグの魅力のひとつかもしれない。

対戦相手のFC大阪は、関西リーグ1部の強豪。選手層は、参加チームの中でも飛び抜けて厚い。大阪府リーグ時代から戦ってきた選手もいれば、元Jリーガーやブラジル人選手も在籍する。今シーズンはリーグ2位。「全社には楽な試合はひとつもないけれど、地決目指して頑張って欲しい」。全社に向けて、サポーターも気持ちはひとつだ。

両チーム、前日からスタメンを1人入れ替えるだけで臨んだ試合。序盤からFC大阪は持ち前の攻撃力を発揮し、22分ブラジル人FWのフィリピーニョ選手のゴールで先制した。1-0で迎えた後半も56分に四ヶ浦選手のゴールで追加点を奪う。リードされた三菱水島FCだが後半はシュート場面も多く、フィジカルで勝るFC大阪の選手に対しても果敢に向かうプレーが印象的だった。両チームとも最後まで激しく走り抜いた試合は、FC大阪が2-0で勝利した。

 

13:30キックオフ:松江シティFC(中国/島根県)vs FC KOREA(関東/東京都)

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新宮市での1回戦を勝ち上がってきたチーム同士の対戦となった。試合前に出されたメンバー表を見ると、副審の欄に名木利幸氏の名前がある。W杯ブラジル大会にも選出された国際副審でプロフェッショナルレフェリーだ。改めて全社の位置づけを思う。この大会は、社会人の全国大会であると同時にプロサッカーリーグへのスタートでもあるのだ。

試合は、立ち上がりからFC KOREAが攻め上がり11分成選手のゴールで先制する。松江シティFCも32分に粕川選手のゴールで同点に追いつくも、前半松江シティFCが放ったシュートはこの1本のみだった。後半、両者ともなかなかシュートまで持っていけない苦しい展開が続く中、64分FC KOREAが与えてしまったPKを松江シティFCの実信選手が決めて2-1とリード。結局これが決勝点となり、松江シティFCが準々決勝進出を決めた。

 

 

橋本市運動公園多目的グラウンド

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JR・南海電鉄橋本駅から徒歩約15分、橋本市運動公園は、多目的グラウンドのほか体育館やテニスコート、プールやアスレチックもある総合運動公園だ。この日は日曜日ということもあり、大勢の家族連れで賑わった。

全社2回戦のこの日、地元のアルテリーヴォ和歌山や隣県の奈良クラブの試合があり、スタンドには多くのファン・サポーターが訪れた。初芝橋本高校をはじめ地元の高校のサッカー部員たちの姿も見える。試合を観戦するとともに、競技補助員として試合運営をサポートした。

 

11:00キックオフ:奈良クラブ(関西/奈良県) vs サウルコス福井(北信越/福井県)

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関西リーグ第11節でFC大阪との天王山を制し、10勝3分1敗で2011年以来3年ぶりのリーグ優勝を果たした奈良クラブ。天皇杯ではJクラブと対戦し、カテゴリーを越えて勝利する喜びも大敗する悔しさも味わった。本大会1回戦では8−0というスコアで勝ち上がり、勢いに乗る。

対するサウルコス福井も、北信越リーグ1部で3連覇を果たした強豪だ。福井からJリーグを目指しており、天皇杯には3年連続福井県代表として出場し、2回戦でJクラブと対戦している。全社は4年連続の出場、昨年度は準々決勝まで勝ち進んだ。

2009年の天皇杯1回戦で対戦したことのある両チーム。どちらも地決への出場権はすでに得ている。奈良クラブは5人、サウルコス福井はGKを含む8人のメンバーを前日と替えてきた。

互いに得点を許さないまま、試合は進んだ。ともに所属リーグで失点が最も少ないチームでもある。80分を経過してもスコアレスのまま、試合は延長戦に突入する。均衡が破られたのは延長9分、奈良クラブのサポーター席から「堤のゴールが見たい」というコールが起こった直後のことだった。サポーターの声に応えるように、インターセプトした堤選手がそのままボールをゴール前に運び、先制。サウルコス福井も最後まで足を止めることなく得点を狙い続けたが、1点を返すことができぬまま試合終了となった。1-0で奈良クラブの勝利という結果は、奇しくも2009年の対戦と同じスコアであった。

 

13:30キックオフ:アルテリーヴォ和歌山(開催地/和歌山県)vs高知Uトラスター(四国/高知県)

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全社初戦を延長で勝利し、勢いに乗るアルテリーヴォ和歌山。地元サポーターの声援を受けて2回戦に臨んだ。

対する高知Uトラスターは、社会人と大学生の混成という珍しいスタイルのクラブだ。2013年より四国の強豪・高知大学と提携し、南国トラスターから現在の名称に変更した。今季の四国リーグでは、アイゴッソ高知とFC今治を抑えての優勝。本大会1回戦では、東京23FCに2-1で勝利してきた。

試合は13分、アルテリーヴォ和歌山・白方選手がヘディングシュートを決めて先制すると、47分にはオウンゴールで追加点を得る。しかし高知Uトラスターは64分に元田選手が1点を返し、さらに4分後に大西徹選手もゴールして同点に追いついた。2-2のまま80分が終了する。アルテリーヴォ和歌山は2試合連続の延長戦に突入した。勝利に繋がる1点が欲しい両チーム、勝ち越したのはアルテリーヴォだ。82分チームのエース大西佑亮選手が左足でゴールを奪う。しかし、これが決勝点になるかと思ったわずか3分後、高知Uトラスターの大西徹選手がこの試合2度目のゴールネットを揺らす。試合は3-3のまま、PK戦へ。直前にGKを交代していたアルテリーヴォ和歌山は、PKでの強さに定評がある大森選手が期待どおりゴールを守りきり、3回戦へ駒を進めた。

 

●全社コラム:ヒーロー

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アルテリーヴォ和歌山と戦っていた高知UトラスターのGKに、思いがけず声をかけられた少年がいた。ゴールのそばで試合を見守っていたボールパーソンで、地元和歌山の高校サッカー部の選手である。試合前半、プレーが中断したタイミングでの出来事だった。

「ちょっと、そのボール貸してもらっていい?」

声をかけたGKは、185㎝76kgの22歳。姿勢が良く堂々とした風貌には、まわりを圧倒する迫力と存在感がある。しかし、少年に話しかける笑顔は爽やかで優しい。ボールを受け取ってグローブの感触を確かめると「ありがとう」と丁寧にボールを返した。それからグローブをタオルで拭き、また少年にボールを借りる。「何度もごめんね。ありがとう」。このGKが、少年の目の前でチームのピンチを何度も救った。好セーブを連発する姿は、少年の目にも頼もしく映ったに違いない。

エンドが変わった後半も熱戦は続き、試合は延長戦に入る。あのGKが再び少年のゴールにやって来た。そして少年の姿を見つけると「戻って来たよ!」と笑顔で手を上げる。少年も嬉しそうに笑った。そこからの試合、アルテリーヴォ和歌山のチャンスに地元の応援が盛り上がる中で、少年だけは高知UトラスターのGKのために手を合わせて祈った。手が震えるほど力を込めて祈っていた。胸が苦しくなるような戦い。両チームの激しい攻防は延長戦でも決着せず、試合はついにPK戦となる。

PK戦を制したのは、アルテリーヴォ和歌山だった。少年の祈りは届かなかった。けれどもこの試合、高知UトラスターのGK那谷選手は、間違いなく少年のヒーローだった。

 

準々決勝進出チーム

クラブ・ドラゴンズ、アルテリーヴォ和歌山、奈良クラブ、三菱重工長崎SC、アミティエSC、VONDS市原FC、FC大阪、松江シティFC

ベスト8のうち奈良クラブと松江シティFCはリーグ優勝してすでに地決出場を決めている。結果によっては、次の準々決勝で全社枠が決まることになる。

Text by  Michio KII  & Kaori MAEDA