展覧会「金曜ロードショーとジブリ展」 わたしたちは金ローのジブリで大きくなった。

© Studio Ghibli

昭和・平成・令和にわたり、「映画」と「人」をつなげてきた日本テレビ系の映画番組「金曜ロードショー」。誰もが観られるテレビを介して数々の名画を届け、昔も、今も、わたしたちの世界を広げてくれています。

そして、金曜ロードショーといえばスタジオジブリ作品。これまで200回以上にわたって放送しているそう。

金曜ロードショーの歩みをたどりながらスタジオジブリ作品の魅力を紹介する『金曜ロードショーとジブリ展』が、現在、京都市京セラ美術館で開催されています。番組や作品たちの歴史とともに〈わたしと、金ローとジブリ〉を振り返り、また、〈金ローでジブリが観たくなる〉。そんな展覧会です。(〜6/29まで)

 

はじめてジブリ作品を観たのは金曜ロードショーでした。

世界的なスタンダードアニメとなったスタジオジブリ。子どもから大人になる過程で、ほとんどの人はなんらかの作品にふれてきたのではないでしょうか。

そして、〈ジブリ作品をはじめて観たのは金曜ロードショーだった〉という人も多いはず。(わたし自身も金曜ロードショーで『風の谷のナウシカ』を観たのが、ジブリ初体験でした)。

金曜ロードショーとスタジオジブリ。この2つのコンテンツは、わたしたちのエンタメ体験に影響を与えています。映画・テレビを通して知らない世界を見せてくれ、目の前で展開される物語にワクワクしながら大きくなった―――といっても過言ではない、と思っています。

 

本展は、金曜ロードショーとスタジオジブリの関係を軸に、昭和・平成・令和という時代が創造したエンタメの流れを感じ取れる展覧会です。

起点となるのは1985年です。この年は、金曜ロードショーの放送がはじまり、スタジオジブリが〈スタジオ開き〉をし、さらには日本テレビが特別番組として『風の谷のナウシカ』を初放送した記念すべき年。2つの歴史が動きはじめたこの年をスタートとし、スタジオジブリ作品が公開された年と、その作品を金曜ロードショーで初放送した年、これらが〈どのような年だったか〉を振り返ることができる構成になっています。ヒット曲やグッズなど、そのときに流行っていたもの・できごとなども展示されており、思わず「懐かしい〜」と声を上げてしまいます。

もちろん、スタジオジブリの紹介もたっぷり。作品解説や誕生の背景、関係者のコメントなどで理解を深められ、何回も観てきた作品たちの新たな魅力も発見できます。

さらに、『風の谷のナウシカ』から『アーヤと魔女たち』まで、スタジオジブリのほぼ全作品の絵コンテの一部を展示。シーンの流れやコマ割りを記載した絵コンテは、いわば〈映画の設計図〉です。手描きされた絵コンテからは場面構成やセリフなどの演出イメージもつかめ、ここからどのように動きだすのかを想像できる楽しみがあります。

展覧会「金曜ロードショーとジブリ展」会場の様子。© Studio Ghibli

 

ジブリワールドの住人になれる!? 体験型の展示にココロオドル♪

本展覧会は大きく、「読んで知る」ゾーンと「世界に入って体験する」ゾーンにわかれています。前半の展示で金曜ロードショーとスタジオジブリの歴史を知り、作品の解像度が高められたら、次は体験型のエンタメゾーンへ。ここからは、ジブリワールドの住人となって、作品のなかを散策する主人公の気分を味わえます。

 

ジブリの幻燈楼

フィルムや造形物などに強い光を当て、レンズで拡大映像を投影して見せることができる「幻燈」を設置。音と光に包まれながらジブリ作品でおなじみのキャラクターたちが幻想的に浮かび上がる室内は、まるで夢の世界です。

制作を担当したのは、ガラスの町・富山の富山ガラス造形研究所、富山ガラス工房、地元作家ら。スタジオジブリが監修し、映画の世界観をロマンティックに体感させてくれます。

「金曜ロードショーとジブリ展」 ジブリの幻燈楼の様子。© Studio Ghibli

 

ジブリ映画ポスタースタジオ

架空のスタジオに迷い込んだようなここは、スタジオジブリ作品のポスターの背景を立体化した展示スペース。観覧者がセットのなかに立つと、各作品のポスターのように撮影できます。展示作品は『魔女の宅急便』『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』『猫の恩返し』『崖の上のポニョ』(『崖の上のポニョ』は会場外に設置)。各作品の主人公になって、あなたのポスターを完成させましょう♪

「金曜ロードショーとジブリ展」 ジブリ映画ポスタースタジオの様子。© Studio Ghibli

 

風の谷のナウシカ 王蟲の世界

スタジオジブリ作品のなかでも、絶大な人気を誇る『風の谷のナウシカ』。金曜ロードショーとスタジオジブリのヒストリーの原点となる作品でもあります。

本展では、映画で強烈な印象を残す〈腐海〉の空間をリアルに再現しています。稀代の造形作家として世界に多くのファンをもつ竹谷隆之さんらが創造した、王蟲、大王ヤンマ、ムシゴヤシなどの造形物は圧巻のクオリティー。空間に足を踏み入れた瞬間にしっとりとした湿度を感じるほどの高い再現性で、来場者を魅了します。

また、特別協賛のau(KDDI)の協力により、AR体験も可能。会場でアプリ「SATCH X」をダウンロード(無料)し、王蟲の展示場所にあるARマーカーを読み込むと、大迫力の王蟲たちがARで出現します!

「金曜ロードショーとジブリ展」 風の谷のナウシカ 王蟲の世界の様子。© Studio Ghibli

 

「金曜ロードショーとジブリ展」

会期:2024年4月12日(金)〜6月29日(土)

会館時間:火〜金 10:00〜18:00 土・日・祝 9:00〜18:00 ※最終入場は17:15

休館日:月曜日(ただし祝日の場合は会館)

会場:京都市京セラ美術館 本館 北回廊2階

入場料:一般 1,800円/中・高校生 1,500円/小学生 1,000円(いずれも税込)

※日時指定予約制。

※未就学児は入場無料。
※障がい者手帳をお持ちの方(介助者1名まで)入場無料。

会場サイト:https://kinro-ghibli.com/kyoto/

 

masami urayama

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