映画『Dr.コトー診療所』舞台挨拶。〈16年〉の歴史をスクリーンで共有できる作品になっている。

あのコトー先生が帰ってきた!――― 山田貴敏さんの同名漫画を元に2003年から2006年にかけてフジテレビで放送された人気ドラマシリーズ『Dr.コトー診療所』。医師のいない離島へ赴任してきた外科医“Dr.コトー”五島健助と島で懸命に生きる住民の絆を描いた医療ヒューマンドラマは高い人気を獲得し、今でも多くのファンをもっています。

あれから16年、オリジナルスタッフ&キャストが集結して映画『Dr.コトー診療所』が完成。2022年12月16日(金)から全国公開されます。

公開に先立ち、12月7日(火)に舞台挨拶in大阪がTOHOシネマズ梅田で行われ、コトー先生を演じる吉岡秀隆さん、コトーの良き理解者である市役所職員・和田役の筧利夫さん、ドラマシリーズに引き続き演出を手掛けた中江功監督が登壇。駆けつけた多くのファンに撮影秘話や作品への思いを伝えてくれました。

 

パワーあふれる大阪のみなさんが大好き!

会場には、一足先に本作を観たいと待ちわびたファンたちが集結。ここ数日の大阪は気温が下がっており、この日も寒い一日でした。最初のあいさつで吉岡さんは「寒くなってきましたので、お身体に気をつけてください。お大事に」とコトー先生のように観客を気遣ってくれます。つづく筧さんも劇中の和田のように元気にハキハキと発声。一気に会場の雰囲気をDr.コトーの世界に変えます。

また、この日の早朝にはW杯 日本対クロアチアがあり、日本はPK戦で敗退。中江監督は「意気消沈するなか、おいでいただきありがとうございます。PK戦の悔しさを少しでも癒せたら」と作品による癒やしパワーを期待していました。

 

舞台挨拶ではまず、司会を務める関西テレビアナウンサー・谷元星奈さんが大阪の印象を質問。吉岡さんはやはり食べ物のイメージが強いようで、「ここに来る前にもたこ焼きを食べました。ふわふわトロトロしていてポン酢でいただきました。はりはり鍋(クジラ肉と水菜の鍋料理)も好きで、それだけを食べに大阪に来たことがあるんですよ」と食い倒れ大阪を堪能している様子。

大阪芸術大学出身の筧さんは「大阪は庭みたいなもの」といい、「パワーあふれる大阪のみなさんが大好き! 今日もまだ映画を観る前なのに、まるで映画を観たあとのようなテンションで我々を迎えてくれている」と熱量のある大阪の観客にラブコールを送ります。

映画『Dr.コトー診療所』舞台挨拶in大阪であいさつをする筧利夫さん

 

変わらないキレイな島を、変わった機材でさらに美しく撮った。

物語の舞台は日本の西の端にぽつんと在る、志木那島。この美しい島の撮影は絶海の孤島・与那国島で行われました。ドラマシリーズでも島の自然を存分に見せてくれましたが、映画では無限に広がる自然の偉大さを大画面で堪能できます。2003年のファーストシリーズから与那国島でロケをしている中江監督は「島は変わらずにキレイ」といいます。

一方、撮影方法はこの16年で進化。昔はヘリコプターで並走していたシーンはドローンで撮影できるようになり、「変わらないキレイな島を変わった機材で撮ったので、さらにキレイに映っていると思います」と中江監督。また、近年は加工技術も高まっています。しかし、美しい与那国島の景色には必要なかったようで「海などは、ほとんどいじっていません」と付け加えていました。

機械の進化といえば、コトー先生の愛車にも影響が…。「自転車を電動付きに変えていただきました。もう(ドラマでおなじみの)あの坂を立ち漕ぎでも登れなくなりましたから(笑)」と吉岡さん。16年の歳月による自身の変化を告白してくれました。

映画『Dr.コトー診療所』舞台挨拶in大阪で中江功監督は与那国島の美しさを語った

 

与那国島のみなさんは、本当にコトー先生がいるように見てくれている。

「Dr.コトー診療所」はコトー先生と島民が互いに助け合いながら生きていく物語。実際の撮影隊と与那国島の方々との関わりも深かったそうで、スタッフや俳優たちはコトー先生のように島になじんでいったのだとか。「最初のころは撮影というものがわかってもらえず、怪訝そうな顔をされることがあった。でも、スタッフと島民の方々はコトー先生のように、だんだん、だんだん、仲よくなっていきました。今ではぼくが往診のシーンを撮っていると島民の方から〈撮影ですか〉といわれて、ぼくも〈撮影ですよ〉といって通り過ぎる。本当にコトー先生がいるように見てもらっているのではないでしょうか」と吉岡さん。筧さんも「撮影をしているときは、ぼくたちも島民。普通に〈よお!〉と声をかけてもらっていました」と島に溶け込んで撮影できたことを教えてくれます。

映画『Dr.コトー診療所』舞台挨拶in大阪で吉岡秀隆さんは島民の方との関係も教えてくれた

 

この映画の主役は〈16年〉という月日。

本作はドラマシリーズの放送から16年という時間が流れています。司会者から〈再集結したスタッフや俳優たちに変化はなかったのか?〉と問われると、「何も変わっていません。みんながいると安心できました」と吉岡さん。中江監督も「俳優たちはこの16年間にいろいろな仕事をして、いろんな役をやってきています。でも、パッと集まったときになんの違和感もなくて、ついこの間までいっしょにやっていたような感じでした。そのうえ〈今回どうすればいいの?〉と誰も聞いてこない。みんな自分で自分を戻してくれていたので、すごくラクでした」とチームワークのよさを語ってくれます。

 

最後は、まず中江監督が「島の人たちは変わらずに生きています。それを覗きに行くような感じで見ていただけたら」とあいさつ。つづく筧さんは「感動をご友人、ご親戚などにお話しいただくとともに、感想を短い文書にして公式のtwitterの方にコメントしてください。我々はそれを全部チェックします!」と声の広がりを願います。

コトー先生である吉岡さんは「16年も経ったのに、こうやって待ってくれている方々がいてとてもうれしいです。今回の映画の主役は〈16年〉という月日。観ていただいた方、ぼくらキャスト、スタッフ、みんなの16年という歴史をスクリーンの中で共有できる作品になっています」と締めくくり、本作同様にやさしくあたたかい雰囲気に包まれて舞台挨拶は終了しました。

映画『Dr.コトー診療所』舞台挨拶in大阪

映画『Dr.コトー診療所』

12月16日(金)から、TOHOシネマズ梅田、大阪ステーションシティシネマ、TOHOシネマズなんば、TOHO二条、OSシネマズミント神戸などで公開

公式サイト:https://coto-movie.jp/

masami urayama

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