『写真展 岩合光昭の日本ねこ歩き』ギャラリートーク。ねこの縁は、人の縁でもある。

動物写真家・岩合光昭さんが世界をめぐって各地のネコを撮影するNHK BSプレミアムの人気番組「岩合光昭の世界ネコ歩き」。10周年を迎えた今年、待望の新作写真展『岩合光昭の日本ねこ歩き』が阪急うめだギャラリー・アートステージにて開催されています。(〜8/13まで)。

番組で訪れた国内各地から15ヶ所を厳選し、大阪もプラス。16都道府県、それぞれの土地の風土を背景にネコとヒトの暮らしぶりを撮影しています。156点の作品はオール新作! 日本各地で暮らす個性的で愛らしいねこたちと出会えます。

7月16日(日)には岩合光昭さんが来場。ギャラリートークが実施され、撮影秘話などのねこトークを披露してくれました。

 

柴又で撮影したノコちゃんは、23年前に撮影したねこのお腹の子だった。

写真展が開催されている阪急うめだギャラリーの隣、阪急うめだホールで開催されたギャラリートーク。ソールドアウトした会場にはたくさんのねこ好きさんたちが詰めかけ、岩合さんの話を熱心に聞き入ります。

トークのメインは撮影秘話。会場に展示されている数点をピックアップし、撮影時のエピソードを披露してくれます。そのひとつが、東京・柴又帝釈天での撮影。作品は2つあり、ひとつは23年前に撮影した仏具店のメスねこ。人懐っこいねこだったらしく、大きく口を開けたユニークな表情を見せてくれています。そして、再び柴又を訪れたときに撮影したのが、同じく仏具店で暮らしている23歳のノコちゃん。老猫ですが、ロケでは元気にジャンプしてくれたそうです。

そのノコちゃん、なんと23年前に撮影したねこの子どもで、当時お腹の中にいたのだとか。「仏具店のご主人が23年前のぼくを覚えていて教えてくれた」とうれしそうに話す岩合さん。「ねこの縁は、人の縁でもあるんです」と自身の体験から得た思いを言葉にしてくれました。

『写真展 岩合光昭の日本ねこ歩き』会場風景

 

『写真展 岩合光昭の日本ねこ歩き』会場風景

 

ねこの姿勢に近い位置から、「大丈夫だよ」と声をかけて撮る。

ギャラリートーク前には、岩合さんへのインタビューを実施。撮影のこだわりやワンランク上の写真にする撮影術など、いろいろ教えてくれました。

 

●岩合さんは世界各国の野生動物を撮影されています。ほかの動物とねこの違いはなんでしょう?

「野生動物とねこの大きな違いは〈距離〉です。野生動物はふれてはいけないし、エサも与えられない。ねこの場合は、それらができます。あとは、話が通じるというか、野生動物は片道通行ですけど、ねこには〈話せばわかる〉ところがあるかもしれません。人間に一番近しい動物で、人間が感じていることは、ねこも感じているんじゃないかと思っているんです」

 

●本展には大阪で撮影した9点を展示。通天閣などで撮影されていますね。

「通天閣には、人のいない明け方と夜に行きました。人がいない時間というのは、ねこが現れる時間。そこを狙って撮影しました」

 

●16都道府県のねこが登場しています。地域によってねこの特徴は違いますか?

「ねこは、めんどうをみている方からの影響が大きい。地域性があるのかはわかりません。ただ、大阪のように人がたくさんいる都会だと人に敏感なねこが多くて、あっという間に居なくなることもあります。そういうねこを撮るときは最初から膝を折って、ねこの姿勢に近い位置から〈大丈夫だよ。ぼくは大丈夫だよ〉と声をかけるところからはじめます」

 

●そのほか、撮影で気にされていることは?

「まずは、ご主人に話しかけます。とくに人の少ない地域に住んでいるねこは、めんどうをみてくれている人しか見ていないんです。だからご主人となかよくなると、〈この人は大丈夫なんだ〉とねこが判断して近寄ってきてくれる。ねこは人を見る目に長けていますから」

 

●素人でもまねできる撮影のワザがあれば教えてください。

「顔の写真を多く撮られますが、ねこは顔だけではありません。全体の動きがおもしろいし、〈前足がかわいい〉や〈輪郭が美しい〉などそれぞれに魅力があります。そういうポイントを見つけてもらえたら、違う写真になります。あとは、背景をよくばらない。たとえば、豪華なソファーにいるねこを撮影すると、それはねこの写真じゃなくなります。インテリアや映り込む色はシンプルなほうがいい。ぼくもねこを際立たせたいときは、できるだけ引き算でいろんなものを排除します」

 

●では、ねこの動きや仕草で岩合さんのお気に入りはありますか?

「車のボンネットの上にメスねこがいるとき、アプローチするオスねこがボンネットの上を覗き込むんですよ。そのときのオスの顔や動きを見ると〈おお、気合入っているな!〉と思う。真剣にアプローチしていて、いいなぁって。こんなふうに、ねこの顔だけじゃなくて、動きも見て撮影してほしいですね」

 

●写真展のベースとなるNHK BSの人気番組「岩合光昭の世界ネコ歩き」が、番組放送10周年を迎えます。

「日本の47都道府県。写真撮影としてはすべての土地をまわりましたが、番組では4県が残っています。とりあえず、そこに行きたいですね」

 

●番組では多くのねこが登場します。ねこと出会う場所を、どうやって見つけるのですか?

「人がゆっくりできるところや涼しいところなど、ねこにとって居心地のいい場所というのがあるんです。そこを見つけるため、最初に丘の上などに登って街を見渡します。高いところからねこの居そうな場所の目星をつけて撮影に行くようにしています」

 

●そうやって出会った日本各地のねこたちの愛らしい姿が、この写真展で見られるのですね! 本日はありがとうございました。

 

会場には〈大阪のねこ〉も特別展示

 

来場を記念し、エントランスパネルに岩合さんがサイン。

 

販売されているオリジナルグッズもバラエティ豊か。

 

「写真展 岩合光昭の日本ねこ歩き」

期間:2023年7月12日(水)〜8月7日(月)

営業時間:10:00〜20:00(最終日は18時閉場、各日とも入場は閉場の30分前まで)

会場:阪急うめだ本展9階 阪急うめだギャラリー・アートステージ

入場料(税込):一般・大学生800円/小・中・高校生600円

※未就学児は無料。

※障がいのある方も入場券をご購入ください。ただし介添え人の方は1人様まで無料です。

※株主優待券は1枚で2名様まで無料。

 

詳細は公式サイトをご覧ください。

https://website.hankyu-dept.co.jp/honten/h/gallery_iwagomitsuaki/

masami urayama

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