映画『ありがとうモンスター』舞台挨拶レポート 誰のなかにもある感覚を描きたかった。

吉本新喜劇の佐藤太一郎と大衆演劇「都若丸劇団」で座長を務める都若丸のダブル主演作『ありがとうモンスター』。普段は違う舞台で活躍をする主演のふたりが、『ニワトリ★スター』のかなた狼監督と交流を重ねるなかで「役者として新たなチャレンジをしたい」と構想を重ね、クラウドファンディングで製作費を集めて完成した映画です。

3月8日には公開初日舞台挨拶をなんばパークスシネマにて開催。満員の客席の前に主演の佐藤太一郎さん、都若丸さん、監督のかなた狼が登壇します。さらには、かなた監督作品ではおなじみのシャックさんとマグナム弾吉さん、ちょい役で出演した北代祐太さんも駆けつけ、爆笑の舞台挨拶となりました。

 

おっさん同士のキスシーンは望んでなかった(笑)。

本作の撮影が行われたのはコロナ禍の 2021 年。ようやく初日を迎えたことについて、主演の佐藤太一郎さんは「普段、ぼくは吉本新喜劇、都若丸さんは大衆演劇の都若丸劇団で舞台を主戦場にやらせてもらっている。稽古して舞台に出て、そしてお客様の反応を見てブラッシュアップしていくみたいな日々を過ごしているんですけど、映画は期間が長い。例えば、作品をつくることが妊娠で、公開が出産だとすると、あまりにも妊娠期間が長くて。三年間、我々おなかにずっといる状態で、ようやく世に送りだせました」と感慨深く語ります。

もうひとりの主役である都若丸さんは、映画と舞台の違いについて、「舞台では〈決め顔〉を当たり前にやるんですけど、映画でそんなことしたらアウト。監督がこうしてほしいっていうものをできたら〈OK〉って言ってくれるけど、違うってなったときは何回もやり直していく。そういうことは舞台ではありえない」といい、「監督とのやり取りのなかで、本番中にお芝居をどんどん変えていくところが勉強になった」と振り返ります。

 

また、苦労したシーンを聞かれると、「(ポスターになっている)キスシーンです。お互い、役者人生においてのファーストキスやったんですよ。ぼくはでキスシーンに憧れがあったんですけど、こんなんじゃない! こんなおっさん同士のキスシーンは望んでなかった(笑)」と佐藤さん。都さんも同じくキスシーンをあげ「何テイクを撮ったかわからない」と笑って教えてくれます。

映画『ありがとうモンスター』公開初日舞台挨拶の様子

 

監督に「48キロまで落とせるか?」と言われて。

本作の出演にあたって、体重を大幅に減量して臨んだ佐藤さん。「今は64~5キロぐらいですけど、撮影時には48キロまで減量しました。監督と撮影前にお話をしたとき〈太一郎はどんな役やりたいねん?〉って聞かれて、今の自分を超えたかったので〈監督がぼくにやらせたいと思う役をやりたいです〉と答えんです。そうしたら、監督から〈ちょっと病んでいる役をやらせたいから48キロまで落とせるか?〉と。ぼくに選択肢はなかったですね」と明かします。

減量は3ヶ月間かけて行われ、「食事を2食に減らして、料理もサラダとチキンだけにした。それで60キロから50キロ台には行けたけど55 キロが切れない。1日1食にしたら貧血で倒れそうになりました。たまたまお仕事でいっしょになった長谷川穂積さんにアドバイスをいただいて、鉄分と亜鉛のサプリを取るようになったら貧血はおさまりました。ただ、それでも50キロを切れなくて撮影前の1 週間はウイダーインゼリーを1日1個だけ。絶対におすすめしないダイエットです」と言い切っていました。

 

都さんは逆に体重を増やしたそうで、「〈太れって〉いわれたんで、通常より10 キロ太って演じました。撮影で汗をかくんですけど、痩せたらあかんからどんどん弁当が出てきて、ずっと食べてくださいって。撮影が終わって2日ぐらいで舞台に復帰したけど、女形をしたら雪見だいふくみたいにまん丸。あれは、ちょっと困りました(笑)」と佐藤さんとは異なる苦労エピソードを披露します。

映画『ありがとうモンスター』で16キロの減量をした佐藤太一郎さん

 

なんのふりをして生きているのか?

最後には、かなた狼監督がコメント。「2021 年に撮影をしたんですけど、現実が(佐藤さん演じる)虫太郎が感じているような世界になっていった。さらにテレビでも、戦争や震災といった悲しいことを目する。でも、そのときはすごく心痛めていても、10分後ぐらいには誰かと話を笑っている自分がいたりします。そんなときに、ふと我に返ると〈あれ? 俺はちょっと頭がおかしいのかな〉って思うんです。さっき何百人も空爆で死んだっていうニュースを聞いたのに、なんで俺はいま笑ってんのかなって。なんというか、魂の置き場がなかなか見つからなかったんです。(本作には)そういうものが根底にあります。なにが善か、悪か? なんのふりをして生きているのか? そういった感覚が、誰のなかにもあるんじゃないかということを描きたかった」と作品に込めた思いを語ってくれました。

映画『ありがとうモンスター』のポスタービジュアル

 

映画『ありがとうモンスター』

3 月 14 日まで1週間限定でなんばパークスシネマにて公開中。

■公式サイト:https://movies.kadokawa.co.jp/karaokeiko/

企画・制作・配給:GUM 株式会社 (Gentle Underground Monkeys co,Ltd.)

製作プロダクション:GUM 株式会社

© Gentle Underground Monkeys co,Ltd.

masami urayama

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