過ぎていく時間 何よりもやさしい 何よりもあたたかい ─── ゼロ年代を代表する珠玉の青春映画が4KでComing back! 映画『リンダ リンダ リンダ 4K』が、8月22日(金)から全国公開。4Kデジタルリマスターで細部まで鮮明にしながらも、35mmフィルムの独特の質感がしっかり残る映像によって、あのころの青春が鮮やかに蘇ります。
女子高生がブルーハーツのコピーバンドをする──ただそれだけの物語に、わたしたちはこんなにも胸を熱くする。
本作の公開は2005年7月23日。そこから20年の時間が流れ、あのころ熱狂したわたしたちも歳を重ねました。青春の日々は遠い昔になってしまいましたが、その記憶はしっかりと刻まれているようで、20年経った今、改めて今作を観ても胸に熱いものが込み上げてきます。
主人公は、どこにでもいる普通の女子高生たち。軽音楽部に所属するガールズバンドのギターが、文化祭の直前に手を骨折し、バンドが分裂してしまうところから物語がはじまります。ステージに立つことを諦められない恵(香椎由宇)、響子(前田亜季)、望(関根史織/Base Ball Bear)の3人は、たまたま通りかかった韓国からの留学生ソン(ペ・ドゥナ)をボーカルに誘ってバンドを結成。ブルーハーツの曲を演奏することにします。
しかし、文化祭のライブまで、あと3日。最初の演奏はメタメタだったものの、猛練習を重ねて息が合っていき、少し距離感のあった彼女たちの関係も次第に深まっていきます ───

このあらすじからもわかるように、本作には大きな事件も派手な展開もありません。描かれるのは、ごく普通の女子高生たち(+周囲の男子高生たち)が文化祭に向けて過ごす数日間だけ。山下敦弘監督も公式サイトで「“女子高生がブルーハーツのコピーバンドをする”ただそれだけの物語」と語っています。
けれど、“ただそれだけの物語”だからこそエモいのです。なぜなら、多くの人の青春も“ただそれだけの物語”だったはずだから。大げさなことのなかった青春を、それでも必死に楽しんだ記憶を呼び覚まし、泣きたくなるほどの甘酸っぱさで包んでくれる。そんな映画を、愛おしく思わずにはいられません。

音楽はジェームス・イハ。部室の小物にもワクワクするっ!
そして、なんといっても本作のキモは音楽です! 青春×ブルーハーツなんて、反則以外の何ものでもありません。文化祭のロックフェスで最後にブルーハーツを演奏する──そんな展開になれば、当然のように大合唱が巻き起こる! 畳みかける反則技が、オーディエンスであるわたしたちのテンションを一気に引き上げてくれるのです。
さらに当時の音楽好きなら、軽音楽部の部室に貼られたポスターや切り抜きにも思わず反応してしまうはず。THE MUSICのポスターやビョークの切り抜き、リチャード・アシュクロフト(おそらくロッキング・オンのもの)の切り抜き、イースタン・ユースのチラシ……と、細部までワクワクが散りばめられています。(ゼロ年代ならストロークスやフランツ、アークティック・モンキーズあたりも欲しかったな、と余計なことまで考えてしまいますが)
そして本作の音楽を担当しているのは、スマッシング・パンプキンズのジェームス・イハ。『レット・イット・カム・ダウン』など、イハのソロ作品を思わせるやさしい音色が、物語全体をやわらかく包み込んでいます。(余談ですが、イハが所属するスマパンは、この秋の来日公演が決定しています!

映画『リンダ リンダ リンダ 4K』
2025年8月22日(金)より、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、kino cinéma神戸国際、シネ・リーブル神戸などで公開。
公式サイト:https://www.bitters.co.jp/linda4k/
© 「リンダ リンダ リンダ」パートナーズ