映画『殺し屋のプロット』 記憶を失っていく知的な殺し屋が最期に仕掛けた完全犯罪にシビレる。

記憶が消える前に、罪を消せ───。
急速に記憶を失う病に侵された老ヒットマンが、人生最期の完全犯罪に挑む姿を描いた映画『殺し屋のプロット』が、2025年12月 5日(金)より全国公開されます。

制作・監督・主演を務めるのは、『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』でアカデミー賞®にノミネートされるなど、数々の賞を手にしてきた名優 マイケル・キートン。
半世紀を超えるキャリアの集大成として完成させた緊迫の LA ネオ・ノワールは、現代的なスタイリッシュさと往年の映画がもつノスタルジックな輝きをまとっており、観終わったあとに「映画っていいな」と感じさせてくれます。

 

息子のために。老ヒットマンが挑む最期の仕事。

博学で頭脳明晰、多くを語らず、ミステリアス─── しかも、その職業が“殺し屋”とくれば、ワクワクせずにはいられません。
本作の主人公・ジョン・ノックスは、映画好きを惹きつける要素が満載のキャラクター。年老いているとはいえ、スタイリッシュな見た目と佇まいをもった、かっこいいヒットマンです。

しかし、このままダークな殺し屋家業を描いていくのか?と期待していると、すんなり裏切られます。彼は、急速に記憶を失う病だと診断され、数週間以内にすべてを忘れてしまうという宣告を受けてしまうのです。

やむなく殺し屋からの引退を決意し、終活をはじめようとするノックス。とはいえ、そうそううまくことが進むわけではありません。今度は、長年絶縁状態だった息子・マイルズが突然現れ、娘をもてあそんだ男を殺してしまったと涙ながらに告白します。

なんとかしてほしいと訴えるマイルズのために殺害現場に向かったノックスは、大量の証拠が残されているのを目にして、いくら殺しのプロでも処理しきれないと判断します。

このむずかしい状況のなか、父親として、人殺しのプロとして、何ができるのか。

ノックスは、刻々と記憶が消えていくなかで、息子のために人生最期の完全犯罪に挑むのです──。

映画『殺し屋のプロット』の一場面

 

キートン、パチーノ、マーシャ── 名優たちの演技に心が踊る!

「読んでみて、すばらしい脚本だ。いつ撮ろう?と思った」とマイケル・キートンが語るように、どう転ぶのかわからないストーリー展開は秀逸で、登場する人物たちも個性的で魅力的。ほろりとする人間模様も描きつつ、最後まで一気に魅せます。

その登場人物たちのキャラクターを際立たせているのが、演じている俳優たち。本作は、キャスティングがとても巧妙なのです。

まず、監督と製作も兼ねた主役のマイケル・キートン。憂いをまといながらもかっこいい老ヒットマン・ノックスを、彼が体現しているからこそ、本作は成り立っているのだと思います。

さらに登場するのが、アル・パチーノ。このレジェンド俳優が演じるのは、ノックスの最期の仕事に協力する、なんともいかがわしい男・ゼイヴィア。アル・パチーノがこの役を楽しそうに演じているのが伝わり、観ているほうも心が踊ります。

映画『殺し屋のプロット』の一場面

 

そして、かっこいい女も登場します。マーシャ・ゲイ・ハーデンが演じるノックスの別れた妻・ルビーは、気丈な女性でありながら、元夫であるノックスに対する感情の揺れをふっと見せます。この表情がとてもすばらしく、さすがアカデミー賞®女優!と拍手を送りたくなります。

息子のマイルズ役に起用されたジェームズ・マースデンは、「もしキートンがぼくにひとつでも台詞をくれるなら、やりたいよ」と語ったそうですが、彼の演技からも、俳優たちが喜びを感じながら制作していたことが伝わります。

そして、そうやってつくられた映画は、もれなくおもしろいのです。

映画『殺し屋のプロット』の一場面

 

映画『殺し屋のプロット』

2025年12月5日(金)より、kino cinema 心斎橋、kino cinema 神戸国際、アップリンク京都などで公開。

公式サイト:https://kga-movie.jp/

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masami urayama

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