新監督のもと、京都から発信する新しいサッカーのカタチ。

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佐川印刷京都サッカークラブ 監督 辛島 啓珠

JFLで企業クラブとして戦い続ける佐川印刷京都サッカークラブ。2014年シーズンは、京都サンガF.C.との業務提携により“京都”という単位で連携した、新しい体制で挑んでいる。今シーズンへの意気込みと、地元のクラブに就任した想いを新監督の辛島啓珠さんに聞いた。

 

2014年、新体制で挑む白熱のタイトルレース。

 

――2014年シーズンがスタートしました。今季のチームの魅力を教えてください。

「みんな若くてよく走るし、意欲的。伸び代のあるチームだと思います」

 

――佐川印刷京都は企業クラブです。プロクラブとの違いはありますか?

「僕自身は変わりません。チームの伝統やルールに関しては柔軟に対応していますが、基本的な指導方法は同じです」

 

――練習と仕事を両立しなくてはいけません。

「練習と仕事は2つでセット。午前中の練習で120%追い込んでしまうと、午後からの仕事に支障をきたします。そこは考えて管理していますね」

 

――監督としては、もっと追い込みたいのでは?

「今までの監督経験で追い込んだこともあるのですが、追い込むと怪我人が出やすくなる。それに、人間は追い込まれたら、その行為自体をイヤになってしまってやりたくなくなる。そうなってしまうと何も積み重ねられません。人は失敗と成功を積み重ねて成長していきます。僕が追い込んでしまうことで、選手とチームの成長を止めてしまってはいけませんから」

 

――追い込まずに成長させる、バランスが難しそうですね。

「少し物足りないくらいの方が、いいんじゃないかと思っています。物足りないから、次への意欲が生まれる。監督は、そこをコントロールしてあげることが大切なのではないでしょうか」

 

――選手の意欲を引き出すことがポイントになると。

「意欲がなくなったら終わりですからね。ガンガンやって自分の思い通りに動かすタイプの監督でも結果を出している方がいるので一概には言えませんが、僕は自分の考えを押しつけるのではなく、選手自身がやるべきことを見つけて動き出せるようにサポートするのが監督の役割だと考えています」

 

――それは選手のことをよく見ていないとできませんよね。

「監督ですから、それをするのが仕事ですよ(笑)。それに、どれだけいい選手でも怪我をして試合に出られなくなったら価値はなくなる。怪我を防ぐためにも監督やコーチ、トレーナーがしっかり見ておかないと。もちろん選手自身も自分の状態をわかってないといけません。“自分の状態を把握してコントロールをしなさい、最終的に自分を守れるのは自分自身だから”と常に言っています」

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もっともっと、強い京都へ。

 

――今シーズンからクラブ名に「京都」が入りました。

「“京都のサッカーをどうしていくか”という未来の話をする機会が増えました。また、京都サンガF.C.とも業務提携したことで、選手を育てる環境も整ってきました。僕自身も京都出身ですし、これから京都のサッカーがどう進化していくのか? 楽しみですね」

 

――提携した京都サンガから来ている選手もいます。

「特別視はしていませんが、来てもらっているからにはしっかり育てなきゃいけないという責任感を持っています。また、選手にとっても自分を見つめ直すいい機会になる。試合への出場機会が増えるだけでなく、社会経験も積めますから、個人差はあるでしょうが得るものは少なからずあると思います」

 

――京都サンガからは森岡隆三ヘッドコーチも派遣されています。

「いいコーチが来てくれることは、チームの活性化につながります。今季は森岡ヘッドコーチが来てくれて、江添コーチも加わった。彼らが現役時代に選手として培ったものを存分に還元してもらえたら、チームの大きな力になります」

 

――以前から交流はあったのですか?

「今回が初めてです。でも、たまたまですが3人とも現役時代のポジションがセンターバックなんです。似ている感覚もあると思うので3人で密に連携して、いい関係をつくりながらやっていきたいですね」

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結果だけじゃダメ。
プロセスを大切にしてチームを育てる。

 

――今シーズンはどういった戦い方を?

「高い位置でボールを奪ってすばやく攻撃する、できるだけシンプルな戦い方をしたいというのはあります」

 

――チームの雰囲気もいいのでは?

「いい雰囲気で戦えていると思います。でも、最初から手応えを感じ過ぎると課題が見えにくくなることもありますから、手応えを掴みながらも新しい課題を見つけられるように、バランスを取りながら進んでいきたいですね」

 

――シーズン終了時は、どんなチームになっていたいですか?

「選手に“自分はいいチームにいる”と誇りに思ってもらえるチームになっていれば。今シーズンもいろんなことが起こると思いますが、その中で自分たちがやり切ったな、成長したなって感じられる部分があれば、いいチームになれるのではないでしょうか」

 

――常に選手目線ですね。

「選手がいなかったらサッカーはできません。リスペクトする気持ちは持って、選手たちがある程度は納得できるカタチで進めていきたいと考えています。結果は出たけど選手自身が内容に納得していないようなら意味がありませんからね。そのためにも、練習や試合の中で失敗と成功を積み重ねてチームも選手も成長する、そんなプロセスが重要なんです」

 

――今シーズンの目標は?

「JFL優勝。そして、国体の優勝も目指しています」

 

――目標達成にはファンやサポーターの後押しも必要です。最後にメッセージをお願いします。

「いいチームになって、観て喜んでもらえるような試合をしたいと思っています。そして、最後に優勝という結果が伴うよう一年間がんばっていきますので、応援よろしくお願いします!」

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Text by Ari Satake

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