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台湾社会や文化への理解を深め、新しい台湾映画を発見する、台北駐日経済文化代表処台湾文化センター開催の「台湾映画上映会」。これまでは東京のみで行っていましたが、大阪・関西万博で盛り上がる2025年は、大阪でも開催されます。
2025年7月12日(土)には、卓球を通じた少年たちの友情と成長を描いたスポーツ映画『燃えるダブルス魂』を大阪大学で上映。上映後には、ホン・ボーハオ(洪伯豪)監督が登壇するトークイベントも行われました。
“新しい”台湾映画を無料で楽しめる上映会を大阪でも!
台北駐日経済文化代表処台湾文化センター開催の「台湾映画上映会」は、日本で公開されていない“新しい”台湾映画を無料(事前申込制)で楽しめる、を貴重な機会です。
今回は、キュレーターの映画監督・リム・カーワイがよりすぐった8作品を上映。台湾アカデミー賞(金馬奨)を席巻した話題作をはじめ、人気スターが出演するエンタメ作品や現代社会を見据えたドキュメンタリー、日本で上映される機会がなかった幻の映画のデジタル・リマスター版など幅広いラインナップがそろっています。
本上映会はこれまで東京のみで開催されていましたが、大阪・関西万博で盛り上がる今年は、8月29日から開幕する「第21回大阪アジアン映画祭」とも連携して大阪での上映が実現。関西の人々にも、旬の台湾映画が届けられます。
2025年7月12日(土)には、大阪会場のひとつである大阪大学豊中キャンパス・大阪大学会館講堂にて『燃えるダブルス魂』を上映しました。日本初上映となる本作は、かつて〈天下無敵の最強ダブルス〉になることを誓い合った2人の少年が、選手権大会でライバルとして対峙することになるスポーツ映画。子どもから大人になる過程での揺れ動きや家族に対する不安定な気持ち、そんななかで一途に卓球に打ち込むピュアさがみずみずしく描かれ、鑑賞後には心があたたかくなる感動作でした。

東京オリンピックをきっかけに台湾で卓球が注目され、映画をつくれた。
上映後にはトークイベントが開催され、ホン・ボーハオ(洪伯豪)監督が登壇。本上映会のキュレーターであるリム・カーワイさんがMCを務め、映画『燃えるダブルス魂』について語り合いました。
まず、ホン監督は制作のきっかけを説明。「9年前に小学生の子どもを卓球サークルに通わせている保護者と知り合いました。ナショナルチームの選手を目指すほど熱心な方で、お聞きしたエピソードで何か物語がつくれるんじゃないかと考えたのが本作のはじまりです」と、ひとつの出会いから生まれた経緯を話します。
とはいえ、「台湾ではスポーツ映画への投資が集まりにくく、脚本は7〜8年、引き出しの奥にしまった状態」だったそう。転機となったのが「東京オリンピック」です。台湾の卓球選手が混合ダブルスで銅メダルを獲得したことから卓球が注目され、出資を受けられたといいます。実は本作のラストには、銅メダルを獲得したリン・ユンジュ(林昀儒)選手も登場しています。ホン監督は「台湾の卓球界に大きな貢献を与えるということで快く引き受けてくれ、ボランティアのようなカタチで出演いただけました」と感謝していました。

500人以上の小学生から、主人公の2人を選出。
本作では、2人の少年が卓球を通して成長していく過程が描かれています。主人公を演じる2人の俳優はこの年代特有の純粋さや不安定さを見事に表現していますが、彼らは演技未経験の子どもたちから選んだとホン監督はいいます。「卓球のうまい小学生を500人〜600人くらいオーディションしました。そこから20〜30人を絞り、演技や卓球の訓練を3カ月ほど行って、最終的に2人を選びました。彼らは演技経験のない子どもたちでしたが、撮影を進めるなかで、どんどん自然な演技ができるようになっていきました」。
監督自身も彼らからの影響を受けたそうで、「先に脚本はありましたが、子どもたちの個性や持ち味を活かせるようアレンジしていきました。主人公のフーを演じたポン・ユーカイは、もともと自分の世界をもっている子どもで目にチカラがあった。その魅力を映像にできるよう〈今の目の動きでいいのか?〉などを2人で話し合いながら進めていきました」と打ち明けます。
本作には日本でもおなじみのビビアン・スーさんや、福原愛さんの元夫でリオ五輪台湾代表のジャン・ホンジェ(江宏傑)さんなどもキャスティングされています。その理由としてホン監督は、「主役の子どもたちは台湾で知られていない存在なので、周囲の大人たちは有名な俳優さんにお願いしました」と説明。さらに「3カ月間の訓練期間に彼らと子どもたちがコミュニケーションを取る時間を設けたことで、本当の家族やチームの一員のように見えるようになりました」と撮影秘話も教えてくれました。
また、本作では台湾の素朴な光景のなかで、人々が葛藤しながらも日々を暮らしていく姿も描かれています。ホン監督は、「この映画を撮影した台中は、私が育った場所。自分の幼いころの記憶を振り返りながら、子どもたちの遊びや衝突などを通して、幼少時代を乗り越えて成長していく過程も描きたかったのです」と想いを語ります。

卓球シーンはリアルであることを追求した。
映画の軸となる卓球シーンのリアルさも見どころのひとつ。脚本には打ち方や球の軌道なども細かく設定し、子どもたちはその通りに練習を重ねて撮影に臨んだそうです。しかし、実際に打ち合う撮影では、すべては予定通りに進むわけではありません。「本来は負けるはずの選手が勝ってしまうこともありました。でも、それがよいシーンであったら、そちらを使ったりしました」とホン監督。CGなどの特殊効果も極力使わず、リアルさを追求したといいます。
なかでも、ホン監督がこだわったのが「音」です。「台湾で有名な音響技師にお願いしました。彼が映像を見ながら実際に球を打ち、その音を録音して映像に当て込む作業をしていました」と臨場感あふれる音の秘密を明かします。
クライマックスとなる主人公たちが対戦するシーンは、1週間かけて撮影。「撮影で一番大変だったのは、子どもたちです。疲れた演技をするために、グラウンドを2〜3周走ってもらうこともありました。子どもたちは〈この映画を完成させるんだ〉という目標に向かっていっしょに努力してくれ、私自身にとっても非常に感動的な撮影でした」と改めて子どもたちへの感謝と称賛を送りました。
トークイベントの最後にリムさんから「台湾映画の魅力」を問われたホン監督は、「多様性があること」だと答えます。「台湾映画には多元的なカタチがあり、多様な創造環境があります。台湾を描く映画はどんどん生まれてほしいし、作品たちのプレゼンスをアジアのなかでさらに高めてほしい。東アジアや日本とももっとつながっていってもらいたいです」と語ると、会場から大きな拍手が沸き起っていました。

「台湾文化センター 台湾映画上映会 2025」
公式サイト:https://jp.taiwan.culture.tw/
●大阪開催
「夫殺し デジタル・リマスター版」上映&トークイベント開催
9月13日(土)開演:15:00 シネ・ヌーヴォ
深夜に母親が食べ物と引き換えに体を売る姿を目撃した少女。成長し、残酷な結婚生活の中で、彼女の精神は追い詰められていき…。 世界15カ国で翻訳された現代台湾フェミニズム文学の最高傑作として知られる、リー・アン(李昂)の小説「殺夫」(1983年)の映画化。リー・アンの初期作品に見られる台湾の郷土への関心を受け継ぎつつ、性、飢え、権力関係に対する鋭い洞察が描き出されている。ソン・ジュアンシャンが監督を務め、脚本はウー・ニェンチェン(呉念真)が担当した。デジタル・リマスター版として41年ぶりにスクリーンに蘇った。
●参加無料(事前申し込み制)
申込み先:≪シネ・ヌーヴォ≫
http://www.cinenouveau.com/ticket/ticket.html
申込み受付:9/6(土)AM10 時よりシネ・ヌーヴォ窓口・オンラインにて先着順
※定員になり次第、申込み終了 ※全席指定 ※キャンセル不可
©️Tomson Films Co., Ltd. / Taiwan Film and Audiovisual Institute