劇場版「鬼滅の刃」無限城編三部作、第一章いよいよ開幕──集英社「週刊少年ジャンプ」にて連載され、コミックス累計発行部数が2億2,000万部を突破した吾峠呼世晴氏による漫画を原作としたアニメシリーズ『鬼滅の刃』。2020年10月に公開された劇場版「無限列車編」は、日本国内での歴代興行収入第1位を記録。その人気は世界にも広がっています。
そして、『劇場版「鬼滅の刃」無限城編』は三部作として制作。第一章となる『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』は7月18日(金)に公開がはじまり、初日から各劇場は完売・満席がつづく大盛況を見せています。
その熱気をさらに高めるべく、7月20日(日)に公開記念舞台挨拶を大阪で開催。竈門炭治郎役・花江夏樹さん、冨岡義勇役・櫻井孝宏さん、 猗窩座役・石田彰さんが登壇し、想いを語ってくれました。
炭治郎にとっては倒すべき鬼だけど、ぼく自身は猗窩座推し!
今回の舞台挨拶は、西日本最大級の座席数を誇るTOHOシネマズ梅田・スクリーン1での開催。びっしりとファンが詰めかけ、花江夏樹さん、櫻井孝宏さん、石田彰さんを大きな拍手で迎えます。劇場版『鬼滅の刃』シリーズでの公開舞台挨拶を大阪で行うのは、実は今回がはじめて。花江さんは「こんなにすごいスクリーンでできてうれしいです」と喜んでいました。
アニプレックスプロデューサー・高橋祐馬さんがMCを務めるトークセッションでは、まず、役づくりに関するテーマで進行します。「猗窩座との邂逅をどのように演じようと思ったのか?」と問われた竈門炭治郎役の花江さんは「炭治郎の気持ちは無限列車編からつづいていて、煉獄(杏寿郎)さんや家族に対する想いを背負って現状に入っている。炭治郎のなかに“猗窩座は倒すべき鬼”という認識がずっとあったので、猗窩座が目の前に現れたときを炭治郎の感情のピークにしたいと思っていました。なので、あとのことは考えずに全力で叫びました。ただ、ぼくは猗窩座が好きなんですよ。登場シーンもむちゃくちゃかっこよくて、炭治郎としては〈(怒りをもった声で)猗窩座―――〉なんですけど、ぼく自身としては〈(愛情をもった声で)猗窩座♡〉でした(笑)」と打ち明けます。
その猗窩座を演じた石田さんは、猗窩座の気持ちの変化を表現することに心を配ったそうで「猗窩座にとって炭治郎は、“指先ひとつでひねりつぶせるくらいの人間”という意識でした。でも、戦いがつづいていくなかで、どんどん評価が変わっていって“いま始末しておかなければいけない存在”になる。そこがとてもおもしろいと思いました。今、花江くんに〈猗窩座は推しです〉といわれて申し訳ないけど、猗窩座の登場シーンでは、(炭治郎を軽んじて)フンっていう気持ちで演じていました」といいます。
相対した花江さんは、「炭治郎の怒りの感情や想いを、アフレコの掛け合いのなかで引き出していただきました。家で台本を読んで〈ああしよう、こうしよう〉と考えていたのと違った表現になるのが掛け合いの楽しさなのですけど、今回はそういうことが多かった」と石田さんの演技を絶賛していました。

「冨岡義勇らしさがでればいいな」と思って演じた。
今作では、炭治郎は水柱・冨岡義勇と共闘して猗窩座に挑んでいきます。感情をほとんど表にださないキャラクター・冨岡義勇を演じた櫻井さんは、「柱稽古以降の義勇は、心を解放する瞬間があって、口下手ながらも意思表示をするようになる。戦いのさなかにも、本来の義勇の人間性が見える言葉がいくつもあって、それが表現の重要な手がかりになりました。〈冨岡義勇らしさがでればいいな〉と思って、いろいろアイデアを考えながら収録にのぞんでいましたね」と役づくりを振り返ります。
そんな義勇と戦う猗窩座役の石田さんは、「強さを求めている猗窩座は、相手の強さを認められるキャラクター。義勇さんの強さにも惹かれていきます。その強さのタイプが前作で戦った煉獄さんとは違って、クールでドライ。柱と鬼の戦いであっても、無限列車編とはかなり違ったおもしろさがあると思っています」と今作の激闘シーンの魅力を語ってくれます。
炭治郎役の花江さんは、そんなふたりの掛け合いに目が離せなかったといい、「すばらしい映像におふたりの芝居が乗ると、こんなに凄まじいものになるのかと思いました。義勇さんの覚醒後の戦いが本当にかっこいいんですよ!」とベタ褒め。さらに、彼らが戦う無限城の舞台に水が流れていたことにふれ、「義勇さんが水柱だからなんですかね? すごくきれいでした。(今作は)背景も含めて見どころが満載だなと思いました」と映像のすばらしさもアピールしていました。

自然と感情が湧き出てきて、どういう気持で演じていたのか覚えていない。
今作では、対戦する猗窩座と炭治郎がそれぞれの想いを口にする印象的なシーンがあります。そのシーンについて石田さんは、「炭治郎の成長度合いが伝わってきて、自信満々だった猗窩座に焦りみたいなものがでてくる。ただ、焦ってはいるけれども、自分のなかでは負けきってはいません。そのへんのさじ加減は気をつけていました。台本を見ていても、〈ここはおもしろい〉と思いながら読んでいましたね」。一方の花江さんは、「煉獄さんに対するひどい発言などを現場で受けていたので、自然と感情が湧き出てくるような感じでした。どういう気持ちで演じていたのか、あんまり覚えていないんです。感覚的にその場で感情がでたので、すごくありがたかったです」と収録時のことを振り返ります。
成長著しい炭治郎ですが、その才能を見抜き、鬼殺隊へと導いたのが義勇です。長い期間、花江さん演じる炭治郎を見守ってきた義勇役の櫻井さんは、「炭治郎の成長は目覚ましいものがありますが、アニメ第1話のときからベースは変わっていません。アイデアと諦めない気持ちがあって、とにかく考えるんです。猗窩座との戦いのなかでも、どうしたら倒せるのかをずっと考えつづけて何かを掴み、すぐに表現できます。炭治郎が生きてきたなかで身につけた嗅覚や諦めない気持ちを持ちながら考えるから、それをすぐに表現できるんだなと思っています。演じる花江くんもそうで、〈そんな方法もあるのか〉という表現をしてくるんです。炭治郎とのシンクロがすごくて、いっしょに収録していると〈楽しいな、おもしろいな〉とくすぐられるし、それが刺激となって義勇の表現にフィードバックできる。花江くんと炭治郎はすごく重なっていて、それに私自身が救われているところもありますね」と打ち明けます。
それを聞いた花江さんは、「お恥ずかしい」と照れを見せつつ、「ありがとうございます!」と感謝を伝えていました。

上弦という鬼のあるべき姿を見せなきゃいけないと思った。
『鬼滅の刃』シリーズは、登場するキャラクターの際立った個性と、それぞれが成長・変化しながら激闘を繰り広げていくことも大きな魅力です。今作での見どころとなる覚醒後の義勇の戦いについての想いを、改めて櫻井さんに伺うと「一剣士として強いものと相対したときに力が湧き上がり、自分の限界を超えるような感覚を味わう。そういう事実により集中できる、未知の体験をしているんじゃないかという高揚感だったり、沸騰するような熱量だったりというものを義勇らしく表現できたらと思って収録にのぞみました」と教えてくれます。
覚醒した義勇と戦う猗窩座を演じた石田さんは、「相手がすごく強くなっていくことに対して、喜んだり、うれしがったりする余裕が猗窩座にはある。上弦というランクについた鬼のあるべき姿を見せなきゃいけないんだろうなと思いました」と猗窩座としての心持ちを語ってくれました。

制作陣はおそらく、“あざ”をだしながらつくっていた。それくらいすばらしい作品。
客席をバックにしたフォトセッションのあとは、登壇した3人が締めのあいさつを行いました。まずは石田さんが「ご来場いただき本当にありがとうございます。今回の無限城編はいかがだったでしょうか。みなさんがおもしろいと思われた気持ちを素直に伝えて、無限城の波を広げていっていただけると、今後の第二章、第三章がすごいものになっていくと思います。公開ははじまったばかりです。終了になるまでよろしくお願いします」とあいさつ。
つづく櫻井さんは「一度観ただけで全部を拾いきれないぐらいの情報量がありますし、映像を観るだけでも楽しめる、すばらしいクオリティの作品です。スクリーンのなかで生きている彼らをぜひとも好きになってもらえたらと思います。まだまだ続く作品ですが、この1作目がすごく大事ですので、これからも繰り返し応援していただけたらと思います」と盛り上げの後押しをお願いします。
最後は花江さんがマイクをもち「上映後のみなさまのお顔を見て、本当に楽しんでいただいたのだなっていうのが伝わってきました。今日は大阪に来られて本当によかったです。これからどんどん鬼滅が盛り上がって、ただでさえ暑いこの夏をより熱く盛り上げていってもらえればいいなと思っています。制作陣はおそらく“あざ”をだしながらつくっていた、それくらいすばらしいものになっていますので、何度も楽しんでいただきたいです。我々も〈心を燃やして〉がんばりますので、引き続きどうかよろしくお願いします。今日はありがとうございました」と締め、熱気に包まれた舞台挨拶の幕を下ろしました。

『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』
7月18日(金)から、TOHOシネマズ梅田、大阪ステーションシティシネマ、TOHOシネマズなんば、MOVIX京都、TOHOシネマズ二条、OSシネマズミント神戸などで公開中。
公式サイト:https://kimetsu.com/anime/mugenjyohen_movie/
©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable