展覧会「OZAKI30 LAST STAGE 尾崎豊展」尾崎豊の歩みにふれ、かけらを持ち帰る。

26歳という若さでこの世を去った日本のロックシーンを代表するアーティスト・尾崎豊。没後30年を機に企画された展覧会「OZAKI30 LAST STAGE 尾崎豊展」が現在、大丸ミュージアム〈梅田〉で開催中です。(〜9/26まで)

尾崎とは一体どういう人間だったのか? 尾崎が歩んできた26年の道のりはなんだったのか? 〈ひとつの区切り〉として開催されている本展。ファンはもちろん、名前しか知らないという人も、尾崎豊という生き様にふれ、そのかけらを持ち帰ってほしい。

 

尾崎豊をつくっていった貴重な資料の数々を展示。

音楽は時代を映す鏡だといわれるけれど、尾崎豊ほど、“あの頃の若者の思いと重い”をリアルに表したアーティストをわたしは知りません。尾崎豊が『17歳の地図』を発売したとき、わたしはまだロックを聴きはじめた子どもで、15歳にも17歳にもなっていなかったけれど「これは、わたしの歌だ!」と感じ、レンタルレコードをダビングしたカセットテープをAIWAのカセットボーイで聴きまくっていました。同じような少年・少女は全国に山程いたのではないでしょうか。

 

そんな自分の甘酸っぱさも呼び覚ます展覧会「OZAKI30 LAST STAGE 尾崎豊展」。会場には生前に愛用した楽器や創作ノート、レコーディング用楽譜など尾崎の歩いた道を辿れる貴重な資料が多数展示されています。

尾崎がノートに手書きした「僕が僕であるために」のレコーディング用歌詞シート。

 

たとえば、黒い学習机。彼が子どもの頃から愛用していたこの机は、もともと黒色ではありませんでした。鬱屈した心を抱えた尾崎少年は、ある日、自らそれまで使っていた机を黒く塗りつぶします。そして「ROCK’N’ROLL」という文字を刻み、日々の思いを音楽にぶつけるのです。そうやって初期の作品たちが生まれました。

いわば、アーティスト・尾崎豊をつくったアイテムのひとつ。尾崎少年が机に向かう姿を想像するとほほえましく、そして、胸が少しキュンとなります。

昭和の雰囲気をそのままに残す学習机で、尾崎は数々の作品を書き上げた。

 

尾崎の歩いた道と尾崎と歩いた道。そして、これから尾崎と歩く道。

展示では、デビュー前からこの世を去るまで、尾崎が駆け抜けていった足跡を追えます。伝説となっている高さ7メートルの足場から飛び降りた「アトミック・カフェ」をはじめとした数々のライブ写真、アルバムジャケットの撮影やデザインワーク、プライベートスタジオの再現など。尾崎豊というアーティストにふれられる多数の資料からは、強力な輝きとともに追い詰められるような苦しさも感じ取れます。

さらには、休止時に滞在していたニューヨークからの手紙、愛用していた財布や香水、プライベートフォトなど、尾崎という人間が垣間見られるものも展示。ヒリヒリとした光を放出するロックアーティストである彼は圧倒的にかっこいいのですが、少し力が抜けた素の顔にふれられると「こんな部分もあったのだな」とわたしは少しホッとできたりしました。

アルバムなどのアートワークが見られるのも興味深い。

 

尾崎が愛用した品々も展示。

 

本展は、10年に一度、尾崎豊にまつわるものを集めて展示し、みんなでしのぼうと企画されたもの。これまで「OZAKI10」「OZAKI20」と開催され、今回の「OZAKI30」は没後30周年を記念した3回目の開催です。ひとつの区切りだとされているので、〈LAST STAGE〉と題しているのだと思います。

ライブフォトをはじめ、さまざまなシーンの写真が豊富に展示されているのもうれしいところ。

 

尾崎豊が死んで30年。尾崎の歌は愛され続け、ライブで叫ぶ姿を見るとまだまだ胸が熱くなります。

最後のコンサートとなった「TOUR 1991 BIRTH ARENA TOUR 約束の日 THE DAY」で彼がいった「また会おう」の実現はかないませんが、こうやって展覧会で尾崎の歩いた道を、またいっしょに歩ける。改めて、その存在と、音楽の偉大さを感じられました。

 

そして、会場から外にでたとき、尾崎のかけらは胸に留まり、「また、あの曲を聴きたいな」と思うのです。

 

「OZAKI30 LAST STAGE 尾崎豊展」

期間:2022年9月7日(水)〜9月26日(月)

会場時間:10:00〜19:30(20:00閉場)

※最終日は17:30まで(18:00閉場)

会場:大丸ミュージアム〈梅田〉大丸梅田店15階

入場料:一般・大学生1,500円/中高生1,000円/小学生500円

※料金は全て税込。

展覧会の詳細は公式サイトをご覧ください。

公式サイト:https://ozaki30.exhibit.jp/

 

masami urayama

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