映画『湯道』舞台挨拶。湯道発祥の地・京都から、映画を沸かせてもらいたい。

数々の賞を獲得した映画『おくりびと』の脚本家であり、人気ご当地キャラクター「くまモン」の生みの親でもある小山薫堂さんと映画『マスカレード』シリーズの制作陣がタッグを組み、小山さんが提唱する入浴という行為を突き詰める新たな道・湯道を映画化! 生田斗真さんをはじめとした超豪華出演者が集結して完成した映画『湯道』は、“お湯”を愛するすべての人々に贈るお風呂エンタメです。(2月23日から全国で公開中)

ひなまつりとなる3月3日(金)、公開を記念した舞台挨拶をロケ地である京都で開催。会場となったT・ジョイ京都には多くのファンが詰めかけ、登壇した生田斗真さん、小山薫堂さん、鈴木雅之監督と、ほっこりあたたかい時間を共有しました。

 

〈湯道〉は、京都で生まれて、京都に育てられた。

満員の観客からの大きな拍手で迎えられた、生田斗真さん、小山薫堂さん、鈴木雅之監督。まずは主人公・三浦史朗(みうら・しろう)を演じた生田さんが「京都は(小山さんが提唱する)湯道発祥の地で映画も撮影された、〈湯道の聖地〉といっても過言ではない土地。京都のみなさまに、この映画が心の奥底まで届くことを心より願っております」と思いを伝えます。

つづいて、2015年に湯道を提唱した家元であり、本作の企画・脚本を担当した小山薫堂さんが「下鴨茶寮の小山薫堂です」とあいさつ。小山さんは2012年に京都の老舗料亭・下鴨茶寮の経営を引き継いでおり、そこから湯道へとつながる縁が生まれたそう。「料亭の経営を引き受けて茶道にふれたことで、“新しい道”というひらめきが生まれました。そこから大徳寺真珠庵の和尚様に相談をして、〈湯道〉というものが誕生。湯道は京都で生まれて、京都に育てられたと思っています」と京都という土地の文化や人への感謝を口にします。

最後にマイクをとった鈴木監督は本作以外でも京都で撮影することが多く、のべ時間でいうと2年半くらい京都に住んでいる計算になるのだとか。「『湯道』は京都発祥の映画で、わたしも半分京都府民。ぜひとも、京都からこの映画を沸かしていただきたいと願っております」と熱を込めます。

映画『湯道』舞台挨拶での生田斗真さん

 

みんなといっしょにお風呂に入って、本当の魅力に出会えたような気がする。

〈湯道〉とは、日本特有の入浴行為をひとつの文化として捉えた新しい道。発祥の地である京都で2ヶ月半も撮影して完成させています。京都での撮影の感想を求められた生田さんは「自分が住んでいる街を離れて、違う土地で映画のことだけを考える日々は本当に贅沢。京都は住んでいる人もいいし、食事もおいしいところがたくさんあります。“いいのかな?”というくらい幸せでした」と語ります。また、京都でのエピソードを聞かれると「みんなといっしょにお風呂に入ったこと」と教えてくれ、「ある夜、薫堂さんおすすめのお風呂にお呼ばれして、お湯をともにしました。いっしょにお風呂に入ると、昨日よりもその人のことが好きになったり、より深く知ることができたりします。お湯の魔力というか、本当のお風呂の魅力に出会えたような気がしましたね」。

また、撮影所を2回訪れたという小山さんはセットに驚いたといい「銭湯がまるごと松竹撮影所に再現されていて、ちゃんとお湯もでました」と本作のもうひとつの主役である銭湯〈まるきん温泉〉の巨大セットのすばらしさを伝えてくれます。さらに「大徳寺真珠庵の山田和尚など京都の重鎮のみなさまも出演しています。ほとんど映っていませんが、見つけたら幸運が舞い込むかもしれないので何度も映画を観て、見つけてください」と本作の隠しキャラ(?)の存在も教えてくれます。

映画『湯道』舞台挨拶での小山薫堂さん

 

湯道温診。湯の道は心もあたためる。

湯道発祥の地・京都は、銭湯好きの間では〈銭湯の聖地〉とも呼ばれ、個性豊かなお湯がそろっています。湯道・家元の小山さんにおすすめを聞くと「京都は水がいいので全部の銭湯がいい」と断言。そのうえで「最近、ぼくがよく行くのは下京区の〈小町湯〉さんで、サウナに入りたいときは水風呂がシングル(水温9度以下)の〈山城温泉〉へ行きます。今日、映画を観たあとに銭湯に行きたくなると思うのですが、ここから3〜5分ほど歩いたところに〈日の出湯〉さんがあります」と小山さん。司会者から“教えてしまったら銭湯が混むのでは?”と突っ込まれると、「映画を観て湯船で感想を語り合うというのも、この映画ならではの楽しみ方」と映画鑑賞後の作法も指南してくれます。

 

そこから話題はお風呂の魅力に移り、北海道出身の生田さんは子どものころにおじいさまに連れられて銭湯に行った思い出を語ります。「家の近くの銭湯にいっしょに歩いていきました。お湯でポカポカに熱くなったカラダを冷ましながが帰る道とか、帰り道でおじいちゃんと手をつないでいた時間とかがすごく楽しかった」と振り返り、本作は「そういう楽しい記憶を呼び覚ましてくれた映画」だともいいます。

一方、鈴木監督は寒い冬のお風呂にマイブームがあるようで「ずっと追い焚きをしながらお湯を熱々にして本を読むんです。そうするとカラダがチンチンに熱くなるから、パッとでて冷たい水をジャッとかぶる。“生きているな”って感じがします」と独特の作法を披露。

そして、このテーマの締めとして湯道家元・小山さんにお風呂の魅力を尋ねると、「湯道温診。湯の道は心もあたためる」とバシッと一言で表してくれました。

映画『湯道』舞台挨拶での鈴木雅之監督

 

この映画をきっかけに毎日のお風呂がもっと楽しくなれば。

舞台挨拶の終盤、小山さんは改めて〈湯道〉を提唱していることについてふれます。「日本人にとって、お風呂に入ることは当たり前すぎて作法を語るまでもない。でも、まったく知らない海外の人からすると、何度のお湯に入るのかもわからない方がいっぱいいます。お風呂を日本の文化として発信すれば日本の魅力は高まりますし、なによりお風呂に入る心地よさであるとか、お風呂によって生まれる心の豊かさみたいなものを伝えたいと思いました」。

また、鈴木監督もこの湯道に魅せられたひとり。「お風呂は人と人をつなげるもので、その人と人をつなげるお風呂の“道”というのがいいなぁと。今は湯道という言葉が自分のなかに入ってきている最中で、家元とともに湯道のことばかり考えています」と明かします。

 

登壇者と観客の熱気でホカホカにあたたまった舞台挨拶も終わりを迎え、最後は生田さんがあいさつ。「映画『湯道』、この京都をスタートに全国各地のみなさんに届けたいと思っております。そして、この映画をきっかけに毎日のお風呂がもっともっと楽しくなってくれることを心より祈っています。本日はみなさまありがとうございます」と湯上がりのようなほっこり笑顔で締めてくれました。

映画『湯道』舞台挨拶での小山薫堂さん、生田斗真さん、鈴木雅之監督

 

映画『湯道』

TOHOシネマズ梅田、大阪ステーションシティシネマ、TOHOシネマズなんば、T・ジョイ京都、TOHOシネマズ二条、OSシネマズミント神戸などで公開中。

公式サイト:https://yudo-movie.jp/

masami urayama

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