映画『バラシファイト』舞台挨拶 スタッフへの感謝の気持ちを全力で込めた映画です!

「バラシ」とは、公演後に劇場内を現場復帰する撤収作業を表す業界用語。コンサートや演劇を観に行ったことがある人は、手際のいい作業風景を目にしたこともあるのでは。そのバラシにスポットをあてたのが、映画『バラシファイト』(公開中)。撤収作業とアクションを融合させた、異色の舞台裏バトルエンターテインメントです。

8月5日(土)には公開を記念した舞台挨拶を大阪ステーションシティシネマで開催。主人公の若手舞台監督・巴川健一を演じた劇団EXILEの小澤雄太さん、巴川と同じ演出部の新人・手賀沼啓之役の寺坂頼我さん、脚本・演出を担当した開沼豊監督が登場し、〈バラシファイト〉の魅力や撮影秘話など、ここでしか聞けない話をしてくれました。

 

カレーライスのように毎日でも飽きない映画。

この日のMCは、本作のプロデュサーで出演もしている浅野寛介さん。気心のしれた仲間からの呼び込みで会場に登場した3人は、リラックスした様子でファンの拍手に応えます。

まずは主演の小澤雄太さんがマイクを握り「今日は短い時間ですけどよろしくお願いします」とあいさつ。寺坂頼我さん、開沼豊監督も来場の感謝を伝えていきます。

 

つづくクロストークは、MCの質問に3人が答えていくスタイル。最初は〈公開を迎えたときの気持ちを8文字で表す〉というむずかしいお題です。

小澤さん「記念すべき日だ」

寺坂さん「ドキドキはじまた」※8文字にするため「っ」を省略

開沼監督「カツカレーライス」

東京の舞台挨拶では5文字制限だったらしく、そのときの開沼監督の回答は「カレーライス」。監督のなかではちゃんと理由があり、「カレーライスのように毎日でも飽きない映画である」ことを表現したそう。大阪ではカツがトッピングされて少し豪華になりましたが、毎日食べるにはボリューミーです。監督も「月に一回くらいなら」と笑っていました。

映画『バラシファイト』舞台挨拶での小澤雄太さん

 

大先輩の胸ぐらをつかむシーンは躊躇せずにいった。

2つめのお題は〈本作で演じたキャラクターについて〉。

トップバッターの寺坂さんは「(演じた)手賀沼くんは振り切らなきゃいけないキャラクターで、〈うぁ〜っ!〉と叫んだり、上司の胸ぐらをつかんだり、演じるには思い切りが必要でした。撮影初日に大先輩である小澤さんの胸ぐらをつかむシーンがあって、躊躇して“ダメだなこいつ”と思われてもよくないので、最初からガッといきました」と、当時の心境を告白。それを聞いた小澤さんは監督の演出を思い出し、「このシーンのドライ・リハーサルで監督は(寺坂さんの演技を)ニヤニヤして観ていました。でも、ドライが終わると“これは青春群像劇だからもっといって”と(寺坂さんに)指示をだしていて。さっきはニヤニヤして観ていたのになぁと思って見ていました」と暴露します。

開沼監督が「命がけでやってほしかったんだよね」と説明すると、寺坂さんは「命がけでしたよ。覚悟していきましたから」と反論。熱い魂がぶつかりあった撮影であったことを伝えてくれます。

 

小澤さん演じる巴川は、〈バラシファイト〉によって得られる打ち上げ参加に意味を見いだせない若手舞台監督。演じるにあたって気持ちの置き方に気を配ったといい、「ぼくは根性論で育ってきたので、体調が悪くても無理をして学校や仕事に行くタイプ。(巴川のもつ)気怠さみたいなものは、ぼくのなかにないんです。だから、風邪を引いて家にたり、やる気がでなくてなにもしたくない人の気持ちを考えて自分に投影してみたりして。最初に脚本を読んでからは〈やる気のない自分を探すこと〉をやっていました」。

 

また、今作が初監督となる開沼監督は、舞台の仕事を多く手がけている舞台人。舞台と映像では見え方に違いがあるため、OKとする演技の判断に工夫をしたと教えてくれます。「目の前で起こる芝居をつくってきたから、 映画の撮影でも目の前で演じられるとすぐにOKをだしちゃう。だから、なるべくモニターで見て判断するようにしていました。ベテランの俳優さんなど本当にかっこいいから、目の前で見ないようにケーブルを伸ばして。モニターの位置をめちゃくちゃ離しましたね(笑)」。

映画『バラシファイト』舞台挨拶での開沼豊監督

 

続編は手賀沼が主演!?

3つめの質問として〈苦労したところ〉を問われると、小澤さんは「撮影時間」と即答。140ページ以上ある脚本を9日間という厳しい時間で撮影したそうで「もっと見せたいアクションやシーンもあった」といい、今作の出来には満足したうえで「続編をつくりたい!」と意欲をみせます。

 

若手の寺坂さんは本格的なアクションに取り組んだことを振り返り、「2ヶ月くらいアクションの稽古に参加しました。ぼくはこれまで本格的なアクションに取り組んだことがなかったので、毎日が本当に刺激的。最初に(アクション監督の)シェイン・コスギさんから、“じゃあ動いてみて”っていわれたんですよ。経験もないのに“自分なりに動いて”っていわれて…。もうね、ヤバいっ、ヤバイってなっていました(笑)」と、そのときのポーズもつけて説明。膝がブルブルと震える仕草に開沼監督は「子鹿みたい」とツッコミを入れていました。

 

最後に回答する開沼監督には、MCの浅野さんから「とっておきの“バラシ”トークをお願いします!」とオーダーが入ります。「う〜ん」と悩みながら、「脚本段階で、最初の構想では(寺坂さん演じる)手賀沼が主役でした。やる気に満ち溢れた若者の話のほうが見やすいのではと思っていたので」とぶっちゃけ。小澤さんがそこに乗っかり「じゃあ、続編は手賀沼の主演で。手賀沼が怒涛のアクションをやったあとにぼくがでてきて〈よくやった〉という感じがいい」と続編の構成を提案すると、2人から「いやいやいや」と止められていました。

映画『バラシファイト』舞台挨拶での寺坂頼我さん

 

関わってくれているみんながいて、エンタメが成り立っている。

和やかな舞台挨拶も終わりを迎える時間がやってきます。最後は3人がそれぞれにあいさつをし、来場への感謝とお願いを伝えます。

開沼監督「この映画は何回見てもいろんな角度から楽しめます。この間に観たときはただ笑っただけなのに、今日はグッときたとなるので、何度か映画館に足を運んでいただけるとありがたいです」。

寺坂さん「小澤さんや監督とバラシファイトという作品をつくって、役者としても、人としても、いろんな気づきがありました。演じている役者だけじゃなく、スタッフさんがいて、さまざまなに関わってくださっているからエンタメが成り立っていることを改めて実感できたし、それらを大切にしていこうと思えた大事な作品です。そんな作品を楽しんでいただけたらなによりです」。

小澤さん「ぼくたちがこうやって表舞台に立てているのは、スタッフさんのおかげであることを知っていただける作品で、スタッフさんたちへの感謝の気持ちを全力で込めている映画でもあります。

コロナの期間、必死に撮った作品です。みんなの笑顔をつくろうと、みんなの未来をつなげていこうと。本気で一生懸命につくりました。コロナだったり、社会問題だったり、いろいろありますが、前を向けるような映画だとぼくは思っています。口伝てやSNSで多くの人たちに広めていただければうれしいし、励みになります。本日は誠にありがとうございました!」。

映画『バラシファイト』舞台挨拶の様子

 

映画『バラシファイト』

2023年7月28日(金)より、大阪ステーションシティシネマにて公開中。

公式サイト:https://barashifight-movie.com/

masami urayama

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