映画『99%、いつも曇り』 発達障害グレーゾーンの生きづらさや葛藤をリアルに。

一葉ちゃんは、もう子供は作らないの? ───叔父からの言葉をキッカケにアスペルガー傾向(発達障害グレーゾーン)にある45歳の女性が、自分自身の存在や夫との関係、子どもをもつということのむずかしさについて問い直していく映画『99%、いつも曇り』。関西では大阪シアターセブン(1月13日〜19日まで)やアップリンク京都(1月29日〜2月1日まで)などで公開されます。

第36回東京国際映画祭のNippon Cinema Now部門に正式出品され、第17回田辺・弁慶映画祭ではグランプリなど4冠を獲得した本作。自身も当事者のひとりである瑚海みどりさんが監督・主演を務めた、リアリティのある人間ドラマです。お見逃しなく!

 

生きるって本当に大変。

物語の主人公は45歳の女性・楠木一葉。アスペルガー傾向(発達障害グレーゾーン)にありますが、 正義感が強くおしゃべりでパワフルに暮らしています。そんな一葉は、母親の一周忌で叔父から「子供はもう作らないのか」と問われます。「生理もこなくなって子供は作れない」と言い放つ一葉ですが、夫の大地(50)が子供を欲しがっている姿を目にして心が大きく揺れ動きます。

実は15年前に流産した経験がある一葉。子づくりに前向きになれず、自身がアスペルガー傾向にあることにも悩んでいます。しかし、周囲からは養子をとることをすすめられ、夫の大地との関係にも次第にズレが生まれていきます。葛藤のなかで、彼女はどう生きて行こうとするのか───

本作の監督・主演を担当したのは瑚海みどり(さんごうみ みどり)さん。自身も発達障害グレーゾーンの当事者で、15年前に「自分もだけどあんたもアスペルガーだと思うよ」といわれたことで気づかされたそう。

本作の制作にあたっても、「我々は小さな社会で、いつでも周りの顔色を伺いながら、小さな頭をぐるぐるさせて人間関係のむずしさにぶち当たっている。生きるって本当に大変。それは発達障害傾向であろうとなかろうと、みんな同じ。それなら、もう少し想像力を働かす努力をしてみようか。みんな誰もが凸か凹で、凸凸凹凹で。15年前の私がこの映画を作るよう背中を押した」とコメントしています。

映画『99%、いつも曇り』の一場面

 

行定勲監督や渡辺えりさんも称賛!

映画『99%、いつも曇り』は、第17回田辺・弁慶映画祭コンペティション部門でグランプリと観客賞、俳優賞(瑚海みどりさん、二階堂智さん)、わいず倶楽部賞を獲得するなど、高い評価を得ている作品。

映画『99%、いつも曇り』の一場面

多くの著名人からもコメントが届けられ、映画監督の行定勲さんは「想い合っていても人間はすれ違ってしまう。相手の気持ちに立って、優しくしてあげることはとても難しい。映画を観ている間、ずっと胸が痛かった。ASDを認識する主人公の生きづらさは社会の乏しい部分を浮き彫りにする。主人公を演じた瑚海みどりの説得力あるキャラクターに圧倒され、夫役の二階堂智の誠実さに涙した。人間の心と希望を映し出そうとしたスタッフに拍手を送りたい」と称賛。劇作家・演出家・女優の渡辺えりさんからは「今回のガラスの動物園のローラが結婚したような映画は、社会と戦いながら、なんとか頑張ってきた人の胸に響くと私は思う」との言葉が寄せられています。

映画『99%、いつも曇り』フライヤービジュアル

 

映画『99%、いつも曇り』

2024年1月13日(土)から1月19日(金)まで大阪シアターセブン、1月29日(月)から2月1日(木)までアップリンク京都、2月3日(土)から2月9日(金)まで神戸元町映画館で公開。

公式サイト:https://35filmsparks.com/

©️35 Films Parks

masami urayama

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