「腹が…減った!」のセリフでおなじみの『孤独のグルメ』。原作:久住昌之、作画:谷口ジローによるハードボイルド・グルメ漫画の実写ドラマとして深夜にひっそりと放送をスタートすると、食欲をそそる料理とともに松重豊さん演じる井之頭五郎の大胆な「食べっぷり」や「心の声」に多くの共感が生まれ、シーズン10までシリーズを重ねる大人気長寿ドラマシリーズとなりました。
そんな『孤独のグルメ』が劇映画となって2025年1月10日(金)に全国公開されました。12年にわたり井之頭五郎を演じてきた松重豊さんが監督・脚本・主演を務め、ワールドワイドにスケールアップ! 松重さんの盟友・甲本ヒロトさん率いるザ・クロマニヨンズが書き下ろした主題歌も心と腹にガツンと響きます。
1月24日(金)には、映画の大ヒットを記念して、松重豊さんが舞台挨拶。食い倒れの街・大阪で空腹を抱えたファンからの熱い質問に答えました。
みなさん、お腹を空かせてしまって申し訳ございません!
今回は本編上映後の舞台挨拶で、会場のTOHOシネマズ梅田には映画を見終えてさらにお腹を空かせたファンたちが集結しています。登場した松重さんは、「みなさん、お腹を空かせてしまって申し訳ございません。こういう映画になっております」とあいさつ。さらに、「今、オニオングラタンスープが食べたい人」「ちゃんぽんが気になっている人」「韓国グルメ」「ラーメン」…と映画に登場した料理のなかでどれが食べたいのかを観客に尋ね、近くで食べられるお店を紹介するという場面も。グルメ案内から始まる、ユニークな舞台挨拶となりました。

あいさつ後は、ドラマシリーズで大阪を訪れたときを振り返り、「めだか師匠と鉄板焼を食べて、野球の下柳さんと串揚げの屋台に行った。あれはおいしかったなぁ」としみじみ語ります。そして、大阪のファンからの質問を受け付けるティーチインがスタート。質問者には松重さんのサイン入り〈井之頭五郎の名刺〉が松重さん本人から手渡されるとあって、驚くほど多くの人が手をあげました。
最初に選ばれた質問者は尾道ラーメンが有名な尾道市出身の方で、「松重さんが好きなラーメンは?」と質問。福岡県出身の松重さんは「やっぱり、豚骨ラーメンですね」といい、「東京では何でもあるから、福岡・箱崎で好きだったラーメンも食べられる。ぼくは東京駅の『赤のれん』という店によく行っていて、麺が硬めのラーメンをハーフにし、メンマをトッピングして食べています」と具体的に教えてくれました。

おいしいオニオングラタンスープにたどり着くまで、3日間食べ歩いた。
「映画の舞台のひとつに、なぜ五島列島を選んだのか」という問いに松重さんは、「九州出身の人間にとって、(五島列島は)憧れの場所です。魚釣りのメッカで魚がおいしいし、隠れキリシタンの聖地であったり、アジアや西洋とつながる起点になっていたりして、異国の匂いも漂っています。今回は福江島ではなく、奈留島というちょっと行きにくいところで撮影しました。このドラマのファンは聖地巡礼をされることが多いそうなのですが、映画では、五島、フランス、韓国とどこも行きづらい(笑)。でも、どこに行ってもあのおかみさんが、実際の料理を運んでくれます。スペシャルなものがあるから、ぜひ行ってみてください」。
つづいての質問者は松重さんと同じ1月19日が誕生日の10歳のお子さん。互いに「お誕生日おめでとうございます」と祝ったのち、松重さんは数字に関する余談として「実は、映画に登場する車のナンバーは“ゴローさん(563)”になっているんです」と秘密を披露。次に映画を見る方は、確認してみてはいがでしょうか。
次に選ばれたのは「五郎さんが行ったフランスのレストランで、同じオニオングラタンスープを食べた」という女性。「おいしかったでしょ!」と驚く松重さんは、フランスロケの話を聞かせてくれます。「(五郎が呆然とたたずむ)最初のカットをどうしてもエッフェル塔の前でやりたくて、無理をいいました。はじめてのパリで、グルメに何を探せばいいかわからなかったのですが、向こうの日本人シェフなどに聞くと〈オニオングラタンスープ〉だと。本当に手間がかかるけど、基本中の基本で手が抜けない料理だそうです。そこから、おいしい店だと言われるところを3日間食べ歩いて、あそこにたどり着きました。一番おいしかったし、ママの雰囲気もいいのでお願いしました」。

おいしく食べるために、収録まで食べない。
今回の舞台挨拶は、時間の許す限り質問をどんどん受け付けるスタイル。二十歳くらいで食の好みが変わったという女性が「松重さんも味覚が変わった瞬間はありますか?」と質問すると、松重さんは味覚というより食べる量の変化に言及します。「若いころはタバコを吸っていて、お酒も飲まなくなりました。そうすると、いくらでも食べられるようになって、スタッフもびっくりしています。味覚というより、胃袋が変化してきたんじゃないかと思います」と回答しました。
次に選ばれたのは、このドラマを観て日本語を勉強したという中国人の男性。「中国の家族もドラマの大ファン」と熱い想いを伝え、いつか中国ロケにも来てほしいとリクエスト。松重さんは中華料理が大好きであると明かし、「今回の主題歌を歌っている甲本ヒロトくんとは中華料理屋でアルバイトをしていました。中華料理はぼくのなかで大きな存在で、本当に行きたいと思っています。そのときは、スタッフやキャストで参加してくださいね」とお願いしていました。
また、「おいしく食べるように気をつけていることは?」という問いには、「それまで食べないこと」と即答。「収録があるときは前日の夜からセーブして、お腹が空いた状態でお店に行って食べます。昼食休憩でスタッフがお弁当を食べているときも、〈そのからあげはおいしいのか?〉なんてプレッシャーを与えつつ横で見ています(笑)。撮影のときはむちゃくちゃお腹が空いているんで、いくらでも食べられます。ただ、お店には食べてもらいたいメニューもあるから、追加で頼むときもある。そのときはハーフでも対応できるか聞いて、ハーフでだしてもらったりしています。この番組は、お店とのやり取りもリアルで、お店の方といっしょにつくりあげているんです」と作品づくりの舞台裏を語ってくれました。

『孤独のグルメ』をみなさんで見守りつづけてください。
その後も質問タイムはつづき、「松重さんのおしゃれなメガネについて」や「音楽について」といった問いが飛び出し、松重さんはそれぞれに笑いを交えつつも真摯に答えます。
音楽に関しての回答では、本作に参加したKan Sanoさんにふれ、「(内田有紀さん演じる)志穂さんの感情のリズムをピアノの音で表したかったので、すばらしいピアニストであるKan Sanoさんにお願いしました。その『神様のメロディ』という楽曲は、1月22日から配信されています。ぜひ、お楽しみください」とアナウンス。
最後は、この日集ったファンに向けて松重さんがあいさつ。「多くの人に観て、喜んでいただけて本当に心がおだやかになります。2度・3度観てもおもしろい映画で、2度目を観たら、また不思議なところが見えてくる。〈あのダニエルっていうのは何者なんだろう?〉とか深掘りしてみてもおもしろいと思います。これからも『孤独のグルメ』という作品をみなさんで見守りつづけてください。今日は本当にありがとうございました」とお礼を伝えました。

『劇映画 孤独のグルメ』
2025年1月10日(金)からTOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズなんば、MOVIX京都、TOHOシネマズ二条、OSシネマズミント神戸などで公開中。
公式サイト:https://gekieiga-kodokunogurume.jp/
©2025「劇映画 孤独のグルメ」製作委員会