氷室京介展。ロックのカッコよさ、美しさを体感できるロックショウ。

ロックミュージシャン、氷室京介。1980年代、若者を中心に爆発的な人気を得たロックバンドBOOWYのボーカリストであり、バンド解散後にソロデビューしてからはミリオンセラーとなった『KISS ME』をはじめとしたヒットナンバーを……という説明も、もはや必要としないジャパニーズロックシーンのアイコン。その氷室京介の40年間の軌跡をたどる展覧会「氷室京介展LX ―ゆるぎなき美学と挑戦」がグランフロント大阪北館ナレッジキャピタルイベントラボで開催されている。(〜10/10まで)

 

足を踏み入れると、そこは氷室京介ロックショウ。

「ヒムロック!ヒムロック!」ライブ会場で氷室を呼び込むファンの歓声からはじまるこの展覧会に足を踏み入れると、そこは氷室京介ロックショウ。見学者として展示物を見ていくというより、参加者としてライブを楽しむ感覚に近い。

プロローグはBOOWY時代。何回も書き直した形跡がある直筆の歌詞原稿で若き日の苦悩にふれたあとは、氷室京介というひとりのアーティストとして活動していくソロ時代へと突入していく。

本展覧会ではソロアーティストとしての軌跡を大きく4つの章で構成。第1章では『KISS ME』の歌詞原稿が公開されており、作詞家・松井五郎とのやり取りの中で歌詞がブラッシュアップされていくことがわかって興味深い。第2章では活動拠点をアメリカ・ロサンゼルスへと移すことで自らの音楽フィールドを拡大し進化させていく様を、第3章では原点に立ち返ってBOOWY楽曲を披露する姿などを紹介している。どの章でも当時の写真やコメント、記事などで丁寧に見せてくれ、氷室京介というアーティストがどのように音楽と向き合い、制作してきたのかを改めて認識できる。さらに、臨場感のある数々のライブフォトとともに衣装やギター、マイクなどが展示され、それらを体感することで、どの時代においてもステージの上に立つ氷室京介が“いかにカッコいいか”を痛感できる。

 

ファンと真摯に向き合う姿を映像で体感。

本展覧会は映像も大きな魅力。とくに、第3章を終えたエピローグで公開されている横浜スタジアム公演の映像は胸を打つ。負傷や落雷など数々のアクシデントが重なってしまい、思い描いていたライブができなかった氷室京介は、なさけなさと悔しさを併せ持った表情で「もう一度、リベンジさせてほしい」とファンに訴える。その姿に氷室京介のファンに対する真摯な想いが凝縮されており、ファンはもちろん、ファン以外の人にとっても心に訴えかけてくる映像となっている。

こうして氷室京介ロックショウをめぐった締めくくり、展覧会の構成は再びプロローグとなる。置いてあるのは、氷室京介のライブの象徴であるモニターカバー。実際に使用されているものが設置され、フォトスポットとして開放されている。かつて氷室京介が足をかけたモニターカバーにふれ、記念撮影をすれば、ファンは「いつか、また」と思うかもしれない。

この展覧会のタイトルに含まれている「LX」は、ローマ数字の「60」。

氷室京介は、2020年10月7日に60歳になる。

現在はライブ活動無期限休止中の氷室京介は、休止前の東京ドーム公演で「還暦になったらアルバムでもつくれれば」と語っていたという。そのファンとの“約束”は果たされるのか? 期待せずにはいられない。

※BOOWYの2番目のOは「O」に斜線。

 

「氷室京介LX ―揺るぎなき美学と挑戦―」

期間:2020年9月5日(土)〜10月10日(土)会期中無休

11:00〜19:00(金、土のみ20:00)

会場:グランフロント大阪北館ナレッジキャピタル イベントラボ

料金:一般 2,500円、高大生2,000円ほか

公式サイト:https://himuro-lx.com/

masami urayama

関連記事